君が隣にいることいつか当たり前になってさ コード。 落合渉さんの 君が隣にいることがいつか当たり前になってさ の歌詞全...

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君が隣にいることいつか当たり前になってさ コード

散発的な拍手によって終幕した騎士就任映像に、その場に集まった者達もまた冷めた目でそれを見つめていた。 枢木スザクの騎士就任が発表されたことで慌ててG1ベースに集まって来た騎士団だったが、さすがに全員を収容できるスペースは無いため、幹部待遇のメンバーをG1ベースに。 一般兵や近衛騎士達は当人達のトレーラーからテレビを引っ張り出してその模様を見つめていた。 「ルルーシュよお、このスザクってヤツが騎士になったとして、俺達には何か良いことがあんのか?」 「ない」 「ねえのかよっ!!」 「あっさりだな。 でも、首相の息子が騎士になった事で、それに期待するヤツは多そうだがな」 映像を見終わると早速とばかりに玉城が口を開く。 実際、日本人である枢木スザクが皇族の騎士に就任することで日本人に益があるのならばそれを否定することは無い。 だが、益など無いのだからルルーシュとしてはバッサリと否定する以外には無い。 とは言え、外に視線を向けた永田の言うように、一般団員の中ではその先にある変化に期待する声が上がっても居た。 「ゼロ。 あっさりと言うが、皇族の騎士というのはそれなりの影響力を持つモノじゃ無いのか? 実際、エルンスト卿は貴族の勢力争いに巻き込まれるぐらいには力があったんだろ?」 負傷したヴィレッタを井上と共に運んできた扇もこの場に招かれ、映像を見ていたが、彼としてはその存在が助けになればと言う思いは強いだろう。 基本的に、彼は穏健な手段を求めがちである。 「私は曲がりなりにもブリタニア人だ。 残念だが、ナンバーズという地位が彼の影響力の前には高い壁として存在する」 「正確には名誉ブリタニア人だが、壁以前に妬み嫉みの方が大きいだろうな。 ユフィの騎士として多くの騎士が、貴族が名乗りを上げていた。 たしかに、枢木スザクの武勲は大きい。 ダールトンなどの要人が彼を認めつつもある。 日本人である枢木スザクではなく、専任騎士としての枢木スザクとして認められているに過ぎない」 キョウト預かりと言う立場だが、あくまでも建前である事が前提なドロテアは出向という形でルルーシュ達と行動している。 そんな彼女は、エルンスト家という騎士の家系があったからこそ、ナイトオブラウンズの地位が後押ししたと言える。 だが、スザクに関してはルルーシュの言の通り、後ろ盾はユーフェミア本人でしか無く、彼の価値もユーフェミアが居ればこそ。 つまりは、スザクは日本人のためではなく、ブリタニアのために動かなければならなくなる。 実際、過去においては戦場や特区以外に政治的な影響力は何一つ持てていなかった。 歴史上でも、一兵卒からの叩き上げて国家のトップまで上り詰めた人物は数多あるが、それらの人物は長い年月を掛けて知識と経験を積み重ねた上で、生まれながらの才能を開花さていったのである。 だが、スザクには才能はあるかも知れないが、知識や経験が無いのである。 それを磨くべき期間に日本侵攻があり、ゲンブの元で学ぶ機会を奪われてしまったのだから。 キョウトがその辺りを何とかするべきであったとルルーシュは思うのだが、彼等としても幼さからか政争の道具としての価値しか見出さなかったのであろう。 桐原達の意図は分からなかったが、神楽耶が年齢以上の振る舞いが出来ていることに比べるとその差は歴然でもある。 「とは言え、希望を打ち砕いたところで意味は無いからな。 スザクには、日本人の期待をしっかり裏切ってもらえば良いだけだ」 「随分冷たいな。 親友だったのでは無いか?」 実際、ユーフェミアの騎士という立場にそこまでの権限が無い事に日本人は徐々に気付く。 過去ではそこに特区という爆弾があったから彼の立場も見直されたのだが、その欠点を支えてやる理由は無い。 が茶化すようにそう告げてくるが、親友だからこそ、自分が甘やかしてやる理由も無い。 「そういやあ、ガキの頃に一緒に過ごしたんだと?」 「誰だ漏らしたのは? C. だな?」 「なんだ、悪いか?」 「ふん。 まあいい、ナナリーとともにな。 今でこそ道を違えたが、アイツが俺の友である事に違いは無い。 だからこそ、俺は手を差し伸べない」 「なぜだ? 間違っているならば正してやるのも友達としての在り方じゃ無いか?」 「扇、お前が仮に正しいと思って頑張っている仕事があるとするな。 それを、中身を理解していない玉城や紅月ナオトに真っ向から否定されたらどう思う?」 「え? まあ、腹は立つし、お前に何が分かるって思うかな? でも、玉城はともかくナオトが言うなら……」 「ちょっと待てよ扇っ!! 何で俺が?」 「それは当たり前としてだ。 扇、ナオトならとお前は思うだろ? はっきり言えば、スザクは頑固だが、政治とかの事は俺の方が遙かに上だし、ヤツを納得させる自信はある。 だが、スザクがそれを受け入れてしまったらもうそれはスザクの意見では無いんだ」 「おい、当たり前って」 「自分の考えをしっかり持って欲しいと言う事か?」 扇の言の通り、紅月ナオトの意見であれば扇は受けれてしまうだろう。 彼は良くも悪くも『白い糸』である。 周囲の色に簡単に染まってしまい、それが正しいか否かを自分で判断するときも、その染まったままの状態で決めてしまう。 人間誰しもそういう一面はあるが、扇はそう言った面が分かりやすいため人望を得られやすいのだろう。 基本的に、他人の心情を理解するが、実態は理解しているのでは無く染まっているのだ。 「兵隊ならば、俺の命令を聞いてくれればそれで良い。 だが、仮にも皇族の騎士なら自分の意思を持って行動すべきだ。 もちろん、俺の邪魔をするなら力尽くで考えを変えてやるが、ヤツがこれまで通り戦場で暴れるだけなら叩き潰すだけだからな」 「お前は叩き潰そうとしても負けるだけだろ」 「別に俺がやらなくても良い。 最悪、ドロテアとモニカとカレンとリヴァルとポラードやファレル達の近衛騎士全員で殴り倒せば良い。 当然だが、C. お前もセットでだ」 連携等々の問題もあるだろうが、カレンとリヴァルが倒されないように肉薄すれば、歴戦のドロテアやモニカならば二人の邪魔をせずに援護できるであろうし、最悪死なない戦いが出来る近衛騎士達で押しつぶすという選択肢もある。 アルビオンを手に入れた後は、カレン以外はお障り厳禁だが、今のスザクであれば精鋭と数の暴力で何とかなる。 「殿下、それは我々の誇りが……」 「分かっているが、いざとなればそれも捨ててもらわねばならなくもなる。 君たちが負けるとも思っていないが、ヤツはKMFの才だけは天性のモノだ」 ドロテアとともに同席しているポラードがドロテアと共に苦笑しつつそう言うが、ルルーシュとしては窮地に追い込まれたときにしぶとさを知っているし、散々煮え湯を飲まされた過去がある。 過去とは比べものにならない手札があるとは言え、彼等とて特に障害とならず一蹴された事もまた事実なのだ。 「お兄様、桐原公より入電です」 「む? 繋いでくれ。 ああ、ナナリー。 シグナルは?」 「ブルーですので、仮面は不要です」 そんな時にキョウトよりの通信。 ナナリーが画面を変えると、そこには桐原と神楽耶の姿が映り込む。 その表情は、心中穏やかでは無い事が窺い知れる。 「これは神楽耶様、桐原公。 ご機嫌麗しく……は無いようですね」 『当然ですわ。 あの裏切り者の取り繕ったような表情が腹立たしくて仕方がありません』 「中々、手厳しい。 無理矢理にでも引き止めておくべきでしたな」 ルルーシュの挨拶を受けるやいなや、苛立ちを隠さずスザクを罵倒する神楽耶に桐原もルルーシュも苦笑するしか無い。 騎士団のメンバー達は神楽耶の姿に一瞬身を強ばらせるも、苛立ちをはっきりと口にし、身体を動かしながらスザクを罵倒する様の年相応のかわいらしさに微笑ましく思うべきか、畏まるべきかと顔を見合わせる。 そして、ルルーシュとしては遠回しにあなた方の責任もありますよ? と告げるが、聡い両者は当然のようにその意図を察する。 『そうですわね。 我々も勢力争いを優先してあの愚か者を追い込んだ事実はございます。 ですが、裏切るなら裏切り者らしく一兵卒に止まっていれば良いものを……』 『ルルーシュ皇子、貴公は以前から知っていたようだが、何か手は打たなかったのかね?』 そして、両者の問いにルルーシュは先ほど扇らに告げた話を繰り返す。 個人的な心情でしか無かったが、ルルーシュ自身、個人的な友情でスザクのために動く義理はあるが、日本のためにスザクをどうにかすると言う義理は無い。 日本人達は大切な同志であるが、道を違えた人間の事まで面倒を見ろと言われてもどうしようも無いのだから。 『そもそも、枢木スザクがルルーシュ様を利用するべきだったのですよ。 親友という立場があれば命の危険はあってもルルーシュ様をお守りできるでしょうし、日本のためになるならば今のようにキョウトも力を尽くします。 そして、ルルーシュ様のためならばアッシュフォードもゴットバルトもアールストレイムも動くのですからルルーシュ様を危険な目に遭わせることは無かったはずですわ』 実際、騎士団を失ったルルーシュはスザクやジェレミアと共にあっさりとブリタニアを簒奪して見せた。 ギアスの力は当然あるが、この両者の力にルーベンやミレイの協力があれば事は単純だったのだ。 「私自身、ヤツとの関係は単純では無いことは自覚しておりますよ。 そして、ヤツがそんな柔軟な頭をしていたら、おそらく友とならなかったでしょう」 『まあ……』 「お兄様もスザクさんも変なところで頑固ですからね。 スザクさんがお馬鹿だったからお兄様も受け入れる余裕があったのだと思います」 「はっきり言うねナナちゃん……」 そんなルルーシュと神楽耶のやり取りに、この場においてはただ一人介入できる地位にあるナナリーが笑顔のままスザクを評す。 その笑みがなんとも迫力があったため、隣に居たシャーリーをはじめとする団員達は冷や汗を浮かべるが、その原因がスザクに対する辛辣な評価では無いと言うのはシスコンフィルター装備のルルーシュ以外の全員が共有していた。 実際の所、ナナリーとしてはいつかスザクが自分やルルーシュの側に来てくれるという思いがあったのだが、スザクはこちらに見向きもせずユーフェミアの騎士になってしまった。 その事実が、心の奥底にあった淡い気持ちを裏切られたと本人が意識すること無く感じ取っていたのだ。 とは言え、ナナリーとしては仲の良かったユーフェミアとスザクが結ばれてくれると言うのはそれでそれで歓迎することであったので気持ちとしては複雑でもあったが。 『いずれにしろ、枢木スザクの日本に対する裏切りに関しては我らの失態として謝罪いたす。 申し訳無かった』 「いえ、元々ヤツとは敵同士です。 それに、枢木スザクやユーフェミア・リ・ブリタニアに今すぐ日本人を救い出せる力が無い以上、ヤツの株は今は最高値でしょう。 一時の熱狂は、その後の失望となって帰ってくるだけです」 そういう意味では、彼の人生は裏切りというモノが付いて回ったとも思う。 彼に意思や罪があるわけでも無く、彼の立場が流転することで結果として人を裏切り、人生すら左右するレベルの危機を与えてしまうのはその生まれ持った立場や才能が大きく影響していたと思う。 善意が報われなかった事には同情するが、地位とはそれだけの責任が同居するのである。 だからこそ、ルルーシュはナナリーを優先するあまり、すべてを失ったのだ。 「枢木スザクの事はもう良いでしょう。 藤堂中佐達はどうしています?」 『うむ。 色々あっての……。 しばらくは、共闘は難しいとだけ言っておこう』 『ご迷惑をおかけいたしますわ』 「……そうですか。 負傷した解放戦線兵に関しては、当人の意思に任せたいと思いますが、それでよろしいか?」 『うむ。 結論が出たらまた連絡する。 それでは』 結果として、枢木スザクの地位を内外に知らしめ、専任騎士就任を後押しする形になった藤堂達だが、こちらは吉田が負傷したように彼等の被害も大きい。 加えて、少佐達とは和解できず、彼に従う解放戦線兵達は騎士団に再合流している。 少佐達からしたら敗残兵の身であったところを処分すらせず受け入れてもらった恩があると言うが、藤堂達の態度にも思うところがあったと言うのが実情のようだった。 「藤堂中佐も中々難しい立場のようですね」 「ああ。 彼はあくまでも武人であって、軍人、いや軍官僚では無いんだ」 一軍の長というのは名声や実力によって就任する場合がほぼすべてであるが、武人としての名声や実力がそれに見合うかと言えば否である。 藤堂という一人のカリスマは武人としてその真価を発揮する。 KMFの存在はその真価を指導者と言う立場にも昇華させる武器であったのだが、それでも相応の将器というモノは求められる。 藤堂の場合は、将器以上の名声を得てしまったが故に当人が苦しむことにもなっているのだ。 もっとも、当の本人もその事を真に理解していたとは言い難かったが……。 本気で理解していれば、シュナイゼルの口車に乗ることも、ルルーシュ達の意図を見抜けず内政干渉のような真似をするわけが無かったのだから。 「私としては他人事ではありませんね。 実際、ポラード達の人生を狂わせてしまった」 「エルンスト卿、我々は……」 「崇拝では無く、信頼している。 だろう?」 「はっ……」 ドロテア自身も一介の武人であるという気持ちはある。 ラウンズ時代も一軍を指揮する立場になった事はあるが、名声や自身の武勇に相応しい戦果を上げられたかというとそうは思えなかった。 実際の所、ドロテアはビスマルクやモニカというラウンズ内でも将という力量を持った人物と同行することが多かったし、それ以外でも戦略眼を持った皇族と同行する機会が多い。 天王山となった第二次トウキョウ決戦においても、ブリタニア本国でオデュッセウス等との後詰めを任されたのは、ビスマルクのように九州方面を託される力量やモニカのように好き勝手動くシャルルやシュナイゼルに振り回されない力量が備わっていなかったからとも言える。 逆に、そう言ったたしかな戦略眼を持った人物の下で起用された際の破壊力はブリタニア屈指でもあったが……。 それを示す機会も、枢木スザクという彼女以上の破壊兵器が存在したため、真価を発揮することは無かったが。 「でもよ、藤堂の大将じゃなかったら、いざルルーシュが表に出るって時に日本人をまとめるヤツが居なくねえか? 神楽耶姫さんじゃ戦場には立てねえだろうし、桐原のじいさん達じゃ胡散臭くてみんな信用できねえんじゃねえか?」 「そうだな。 そこで俺がと言い出さない辺り成長したじゃ無いか玉城」 「あんだよ。 俺だって勉強ぐらいはするんだぞっ!? これでも官僚志望だぜ?」 「志望だったら誰にでも出来るわよ……」 そんな調子で藤堂を否定したところで状況が変わるわけでも無い。 六家の長である神楽耶はたしかに日本の象徴でもあるが、彼女はまだ幼く、武人としての地位が確立されている藤堂のように軍の象徴となるには実績に乏しい。 平時であれば、その血筋だでも成り立つのだが、生憎と今は戦時である。 「いざとなれば、お兄様が神楽耶様と結婚すれば問題無いですよ。 顔合わせの時から神楽耶様は乗り気だったようですし」 「な、ナナリーっ!?」 「ふむ。 たしかに、ブリタニア皇族と日本の姫であれば家格としては十分ですな」 玉城の指摘に対してルルーシュがそんな思考をしている最中、ナナリーが口にした一言でルルーシュが凍り付く。 実際の所、ルルーシュは将来的にはそうなるべきだという思いもあったが、ナナリーの口からそれを発せられた事への衝撃が大きすぎて二の句を告げなくなっている。 「いやちょっと待ってよ、シャーリーやミレイの立場はどうなるってのよっ!!」」 凍り付いてしまったルルーシュと相変わらずの有無を言わさぬ笑顔なナナリーに、大真面目にルルーシュの嫁取りを頭に描くジェレミアと言った構図に再び室内が凍り付く中、カレンが声を荒げる。 彼女としては政略結婚等々より、あからさまな好意を向けているクラスメイトや生徒会長の方が印象深く、単純な個人の恋愛として捉えていた。 「ふえっ!? わ、私は、その」 「私は別に良いわよ~? 正妻は日本のお姫様でも、第二、第三夫人になるだけだし」 「か、会長~」 そして、カレンの爆弾に巻き込まれたシャーリーとミレイであったが、双方の反応は当人らしい反応であり、その傍らで崩れ落ちた騎士団準エースの姿も相まって、凍り付いていた室内が再び色づく。 当人達からしたら修羅場であろうが、今は個人の恋愛事情を語っている状況でも無い。 「殿下のハーレム建設は脇に置くとして、実際の所はどうなさるおつもりなのですか?」 「ドロテア、ハーレムなどとっ!!」 「……戯れ言です。 さっさと戻ってきてください」 収拾が付かなくなった場を収めるのはやはり実績ある人物の声である。 とは言え、ドロテアのちょっとした茶目っ気に分かりやすく反応したルルーシュに、さすがのドロテアも青筋を立てるが、すぐに元に戻ったルルーシュが指名したのは思いがけない人物であった 「む、スマン……。 まあ、藤堂の代わりは考えている。 神楽耶ではなく、カレンという存在がな」 「はぁっ!? 私っ!?!?」 「今更だろ? 俺ははじめにお前に英雄になれと言ったと思うが?」 「いや、あの時は覚悟を確認しただけでしょ?? そもそも、あんたがずっと組織を引っ張ってきたわけで、私なんか手駒だったんじゃ無いの?」 「だが、紅蓮を駆る姿に魅入られた者達も多い」 「戦いにあって、兵達はその象徴に神を感じ、命を賭して戦うモノとも言います。 戦場にあっては、紅月君の姿に勇気づけられた者も多いでしょうな」 「ジェレミアまで何言ってんのよ……。 第一、私は最初に無理だって言ったじゃ無い……」 皇族としてのルルーシュとレジスタンスとしてのカレンの邂逅の場において、ルルーシュはカレンに対して兄ナオトの意志を継ぎ、英雄として人々を引っ張る覚悟があるかと説き、カレンは柄じゃ無いとそれを断っている。 その事を思い返すと、ルルーシュはカレンに対してその身に流れる血の事にも言及していた事も。 「ルルーシュ、私を表に出すって言うのは、ブリタニアの血も利用したいって事?」 「そうだな。 仮に俺が皇族に戻ったとして、日本側の象徴として神楽耶が居るとする。 だが、そこにあるのは日本人だけの日本だ。 それでは俺達も困る」 実際、シャーリーやミレイのように家族ぐるみで日本に居を移している者も多い。 日本からすれば不当に奪われた土地に勝手に住んでいるという思いがあるかも知れないが、彼女達はそれに対する禊ぎとして共に戦っている。 その事実を無碍にすることは出来なかった。 「ブリタニア人とのハーフである私がトップに立つことでシャーリー達の身も守ろうって事? 随分都合が良い話ね」 「俺が日本人と結ばれたり、扇達がブリタニア人と結ばれたりしたら政略色が強くなるが、お前の場合は戦前からのハーフだからな。 両親の気持ちは分からんが、融和の象徴としての価値は高いぞ?」 「あんたねえ……。 人を値踏みするんじゃ無いわよっ!!」 実際、扇とヴィレッタが戦後に融和の象徴となったようだが、戦場にあっては恋愛譚よりは英雄譚を人は好む。 カレンの場合は両親も含めてその双方を満たす存在である。 当人にとっては迷惑な話でも、生まれによってその立場が決まる人間は得てして多い。 当のルルーシュやナナリーもその口だった。 「怒るな。 スザクや藤堂がちゃんとしてくれれば問題は無いんだからな。 その怒りは俺じゃ無くてスザクが戦場に出てきたときにぶつけてやれ」 「言われなくてもそのつもりよ。 でも、そう言われると本気でボッコボコにしてやりたくなったわ」 「俺も協力するぜっ!!」 「返り討ちにされて終わりだろ。 まあ、気持ちは分かるが」 そして、カレンの怒りを上手くスザクに押し付けたルルーシュは、カレンの勇ましい物言いに賛同して大声を上げる玉城とそれを窘める永田と言う構図に苦笑しつつ、解散を告げる。 最後は雑談のような形になってしまったが、基本的にカレンや玉城がいる場では最後まで締まった話にはならない。 緻密な戦略は基本的にルルーシュ、ジェレミア、ナナリーで決め、オブザーバーとしてルーベンやドロテア、モニカを含める。 シャーリー、ミレイ、リヴァルが加わることもあるが、彼女達は勉強という意味合いが強いのだ。 (いずれ、カレンか藤堂が加われるようになってくれると良いんだがな……) お開きとなった場で玉城を中心に騒ぐ若いメンバーやさっさとそこから離れて茶を嗜むドロテア、ジェレミア、咲世子と言った大人組の様子を見つめながらルルーシュはそんな事を考える。 「ルル、お疲れ様。 ナナちゃんも」 「ああ、ありがとうシャーリー」 「ありがとうございます。 ……ふふ、シャーリーさんも頑張ってくださいね」 そして、咲世子から紅茶を受け取ってきたシャーリーがルルーシュとナナリーの元へとそれを運んでくる。 とは言え、先ほどの騒ぎを引き摺っているナナリーの言にルルーシュもシャーリーも苦笑するしか無かった。 そんな様子に、ルルーシュは改めて、シャーリー達の存在の大きさを感じないわけには行かなかった。 (……俺にも立場がある。 シャーリーの気持ちにもミレイの気持ちにも、その気になれば答えることは出来る。 だが、それではあの男と同じでは無いのか……?) シャーリーへの思いを自覚し、ミレイの気持ちや神楽耶の立場を考えると、シャルルの行いを肯定するしか無くなってしまう。 そんな思いがどうしてもルルーシュの脳裏で引っ掛かりを覚えるのも事実だった。 同時に、そんな事を考えるだけの余裕もルルーシュにはあると言う事だったが、そんな余裕や平穏も戦時にあってはあっさりと覆される。 それは、乱世の宿命とも言える事実であった。

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散発的な拍手によって終幕した騎士就任映像に、その場に集まった者達もまた冷めた目でそれを見つめていた。 枢木スザクの騎士就任が発表されたことで慌ててG1ベースに集まって来た騎士団だったが、さすがに全員を収容できるスペースは無いため、幹部待遇のメンバーをG1ベースに。 一般兵や近衛騎士達は当人達のトレーラーからテレビを引っ張り出してその模様を見つめていた。 「ルルーシュよお、このスザクってヤツが騎士になったとして、俺達には何か良いことがあんのか?」 「ない」 「ねえのかよっ!!」 「あっさりだな。 でも、首相の息子が騎士になった事で、それに期待するヤツは多そうだがな」 映像を見終わると早速とばかりに玉城が口を開く。 実際、日本人である枢木スザクが皇族の騎士に就任することで日本人に益があるのならばそれを否定することは無い。 だが、益など無いのだからルルーシュとしてはバッサリと否定する以外には無い。 とは言え、外に視線を向けた永田の言うように、一般団員の中ではその先にある変化に期待する声が上がっても居た。 「ゼロ。 あっさりと言うが、皇族の騎士というのはそれなりの影響力を持つモノじゃ無いのか? 実際、エルンスト卿は貴族の勢力争いに巻き込まれるぐらいには力があったんだろ?」 負傷したヴィレッタを井上と共に運んできた扇もこの場に招かれ、映像を見ていたが、彼としてはその存在が助けになればと言う思いは強いだろう。 基本的に、彼は穏健な手段を求めがちである。 「私は曲がりなりにもブリタニア人だ。 残念だが、ナンバーズという地位が彼の影響力の前には高い壁として存在する」 「正確には名誉ブリタニア人だが、壁以前に妬み嫉みの方が大きいだろうな。 ユフィの騎士として多くの騎士が、貴族が名乗りを上げていた。 たしかに、枢木スザクの武勲は大きい。 ダールトンなどの要人が彼を認めつつもある。 日本人である枢木スザクではなく、専任騎士としての枢木スザクとして認められているに過ぎない」 キョウト預かりと言う立場だが、あくまでも建前である事が前提なドロテアは出向という形でルルーシュ達と行動している。 そんな彼女は、エルンスト家という騎士の家系があったからこそ、ナイトオブラウンズの地位が後押ししたと言える。 だが、スザクに関してはルルーシュの言の通り、後ろ盾はユーフェミア本人でしか無く、彼の価値もユーフェミアが居ればこそ。 つまりは、スザクは日本人のためではなく、ブリタニアのために動かなければならなくなる。 実際、過去においては戦場や特区以外に政治的な影響力は何一つ持てていなかった。 歴史上でも、一兵卒からの叩き上げて国家のトップまで上り詰めた人物は数多あるが、それらの人物は長い年月を掛けて知識と経験を積み重ねた上で、生まれながらの才能を開花さていったのである。 だが、スザクには才能はあるかも知れないが、知識や経験が無いのである。 それを磨くべき期間に日本侵攻があり、ゲンブの元で学ぶ機会を奪われてしまったのだから。 キョウトがその辺りを何とかするべきであったとルルーシュは思うのだが、彼等としても幼さからか政争の道具としての価値しか見出さなかったのであろう。 桐原達の意図は分からなかったが、神楽耶が年齢以上の振る舞いが出来ていることに比べるとその差は歴然でもある。 「とは言え、希望を打ち砕いたところで意味は無いからな。 スザクには、日本人の期待をしっかり裏切ってもらえば良いだけだ」 「随分冷たいな。 親友だったのでは無いか?」 実際、ユーフェミアの騎士という立場にそこまでの権限が無い事に日本人は徐々に気付く。 過去ではそこに特区という爆弾があったから彼の立場も見直されたのだが、その欠点を支えてやる理由は無い。 が茶化すようにそう告げてくるが、親友だからこそ、自分が甘やかしてやる理由も無い。 「そういやあ、ガキの頃に一緒に過ごしたんだと?」 「誰だ漏らしたのは? C. だな?」 「なんだ、悪いか?」 「ふん。 まあいい、ナナリーとともにな。 今でこそ道を違えたが、アイツが俺の友である事に違いは無い。 だからこそ、俺は手を差し伸べない」 「なぜだ? 間違っているならば正してやるのも友達としての在り方じゃ無いか?」 「扇、お前が仮に正しいと思って頑張っている仕事があるとするな。 それを、中身を理解していない玉城や紅月ナオトに真っ向から否定されたらどう思う?」 「え? まあ、腹は立つし、お前に何が分かるって思うかな? でも、玉城はともかくナオトが言うなら……」 「ちょっと待てよ扇っ!! 何で俺が?」 「それは当たり前としてだ。 扇、ナオトならとお前は思うだろ? はっきり言えば、スザクは頑固だが、政治とかの事は俺の方が遙かに上だし、ヤツを納得させる自信はある。 だが、スザクがそれを受け入れてしまったらもうそれはスザクの意見では無いんだ」 「おい、当たり前って」 「自分の考えをしっかり持って欲しいと言う事か?」 扇の言の通り、紅月ナオトの意見であれば扇は受けれてしまうだろう。 彼は良くも悪くも『白い糸』である。 周囲の色に簡単に染まってしまい、それが正しいか否かを自分で判断するときも、その染まったままの状態で決めてしまう。 人間誰しもそういう一面はあるが、扇はそう言った面が分かりやすいため人望を得られやすいのだろう。 基本的に、他人の心情を理解するが、実態は理解しているのでは無く染まっているのだ。 「兵隊ならば、俺の命令を聞いてくれればそれで良い。 だが、仮にも皇族の騎士なら自分の意思を持って行動すべきだ。 もちろん、俺の邪魔をするなら力尽くで考えを変えてやるが、ヤツがこれまで通り戦場で暴れるだけなら叩き潰すだけだからな」 「お前は叩き潰そうとしても負けるだけだろ」 「別に俺がやらなくても良い。 最悪、ドロテアとモニカとカレンとリヴァルとポラードやファレル達の近衛騎士全員で殴り倒せば良い。 当然だが、C. お前もセットでだ」 連携等々の問題もあるだろうが、カレンとリヴァルが倒されないように肉薄すれば、歴戦のドロテアやモニカならば二人の邪魔をせずに援護できるであろうし、最悪死なない戦いが出来る近衛騎士達で押しつぶすという選択肢もある。 アルビオンを手に入れた後は、カレン以外はお障り厳禁だが、今のスザクであれば精鋭と数の暴力で何とかなる。 「殿下、それは我々の誇りが……」 「分かっているが、いざとなればそれも捨ててもらわねばならなくもなる。 君たちが負けるとも思っていないが、ヤツはKMFの才だけは天性のモノだ」 ドロテアとともに同席しているポラードがドロテアと共に苦笑しつつそう言うが、ルルーシュとしては窮地に追い込まれたときにしぶとさを知っているし、散々煮え湯を飲まされた過去がある。 過去とは比べものにならない手札があるとは言え、彼等とて特に障害とならず一蹴された事もまた事実なのだ。 「お兄様、桐原公より入電です」 「む? 繋いでくれ。 ああ、ナナリー。 シグナルは?」 「ブルーですので、仮面は不要です」 そんな時にキョウトよりの通信。 ナナリーが画面を変えると、そこには桐原と神楽耶の姿が映り込む。 その表情は、心中穏やかでは無い事が窺い知れる。 「これは神楽耶様、桐原公。 ご機嫌麗しく……は無いようですね」 『当然ですわ。 あの裏切り者の取り繕ったような表情が腹立たしくて仕方がありません』 「中々、手厳しい。 無理矢理にでも引き止めておくべきでしたな」 ルルーシュの挨拶を受けるやいなや、苛立ちを隠さずスザクを罵倒する神楽耶に桐原もルルーシュも苦笑するしか無い。 騎士団のメンバー達は神楽耶の姿に一瞬身を強ばらせるも、苛立ちをはっきりと口にし、身体を動かしながらスザクを罵倒する様の年相応のかわいらしさに微笑ましく思うべきか、畏まるべきかと顔を見合わせる。 そして、ルルーシュとしては遠回しにあなた方の責任もありますよ? と告げるが、聡い両者は当然のようにその意図を察する。 『そうですわね。 我々も勢力争いを優先してあの愚か者を追い込んだ事実はございます。 ですが、裏切るなら裏切り者らしく一兵卒に止まっていれば良いものを……』 『ルルーシュ皇子、貴公は以前から知っていたようだが、何か手は打たなかったのかね?』 そして、両者の問いにルルーシュは先ほど扇らに告げた話を繰り返す。 個人的な心情でしか無かったが、ルルーシュ自身、個人的な友情でスザクのために動く義理はあるが、日本のためにスザクをどうにかすると言う義理は無い。 日本人達は大切な同志であるが、道を違えた人間の事まで面倒を見ろと言われてもどうしようも無いのだから。 『そもそも、枢木スザクがルルーシュ様を利用するべきだったのですよ。 親友という立場があれば命の危険はあってもルルーシュ様をお守りできるでしょうし、日本のためになるならば今のようにキョウトも力を尽くします。 そして、ルルーシュ様のためならばアッシュフォードもゴットバルトもアールストレイムも動くのですからルルーシュ様を危険な目に遭わせることは無かったはずですわ』 実際、騎士団を失ったルルーシュはスザクやジェレミアと共にあっさりとブリタニアを簒奪して見せた。 ギアスの力は当然あるが、この両者の力にルーベンやミレイの協力があれば事は単純だったのだ。 「私自身、ヤツとの関係は単純では無いことは自覚しておりますよ。 そして、ヤツがそんな柔軟な頭をしていたら、おそらく友とならなかったでしょう」 『まあ……』 「お兄様もスザクさんも変なところで頑固ですからね。 スザクさんがお馬鹿だったからお兄様も受け入れる余裕があったのだと思います」 「はっきり言うねナナちゃん……」 そんなルルーシュと神楽耶のやり取りに、この場においてはただ一人介入できる地位にあるナナリーが笑顔のままスザクを評す。 その笑みがなんとも迫力があったため、隣に居たシャーリーをはじめとする団員達は冷や汗を浮かべるが、その原因がスザクに対する辛辣な評価では無いと言うのはシスコンフィルター装備のルルーシュ以外の全員が共有していた。 実際の所、ナナリーとしてはいつかスザクが自分やルルーシュの側に来てくれるという思いがあったのだが、スザクはこちらに見向きもせずユーフェミアの騎士になってしまった。 その事実が、心の奥底にあった淡い気持ちを裏切られたと本人が意識すること無く感じ取っていたのだ。 とは言え、ナナリーとしては仲の良かったユーフェミアとスザクが結ばれてくれると言うのはそれでそれで歓迎することであったので気持ちとしては複雑でもあったが。 『いずれにしろ、枢木スザクの日本に対する裏切りに関しては我らの失態として謝罪いたす。 申し訳無かった』 「いえ、元々ヤツとは敵同士です。 それに、枢木スザクやユーフェミア・リ・ブリタニアに今すぐ日本人を救い出せる力が無い以上、ヤツの株は今は最高値でしょう。 一時の熱狂は、その後の失望となって帰ってくるだけです」 そういう意味では、彼の人生は裏切りというモノが付いて回ったとも思う。 彼に意思や罪があるわけでも無く、彼の立場が流転することで結果として人を裏切り、人生すら左右するレベルの危機を与えてしまうのはその生まれ持った立場や才能が大きく影響していたと思う。 善意が報われなかった事には同情するが、地位とはそれだけの責任が同居するのである。 だからこそ、ルルーシュはナナリーを優先するあまり、すべてを失ったのだ。 「枢木スザクの事はもう良いでしょう。 藤堂中佐達はどうしています?」 『うむ。 色々あっての……。 しばらくは、共闘は難しいとだけ言っておこう』 『ご迷惑をおかけいたしますわ』 「……そうですか。 負傷した解放戦線兵に関しては、当人の意思に任せたいと思いますが、それでよろしいか?」 『うむ。 結論が出たらまた連絡する。 それでは』 結果として、枢木スザクの地位を内外に知らしめ、専任騎士就任を後押しする形になった藤堂達だが、こちらは吉田が負傷したように彼等の被害も大きい。 加えて、少佐達とは和解できず、彼に従う解放戦線兵達は騎士団に再合流している。 少佐達からしたら敗残兵の身であったところを処分すらせず受け入れてもらった恩があると言うが、藤堂達の態度にも思うところがあったと言うのが実情のようだった。 「藤堂中佐も中々難しい立場のようですね」 「ああ。 彼はあくまでも武人であって、軍人、いや軍官僚では無いんだ」 一軍の長というのは名声や実力によって就任する場合がほぼすべてであるが、武人としての名声や実力がそれに見合うかと言えば否である。 藤堂という一人のカリスマは武人としてその真価を発揮する。 KMFの存在はその真価を指導者と言う立場にも昇華させる武器であったのだが、それでも相応の将器というモノは求められる。 藤堂の場合は、将器以上の名声を得てしまったが故に当人が苦しむことにもなっているのだ。 もっとも、当の本人もその事を真に理解していたとは言い難かったが……。 本気で理解していれば、シュナイゼルの口車に乗ることも、ルルーシュ達の意図を見抜けず内政干渉のような真似をするわけが無かったのだから。 「私としては他人事ではありませんね。 実際、ポラード達の人生を狂わせてしまった」 「エルンスト卿、我々は……」 「崇拝では無く、信頼している。 だろう?」 「はっ……」 ドロテア自身も一介の武人であるという気持ちはある。 ラウンズ時代も一軍を指揮する立場になった事はあるが、名声や自身の武勇に相応しい戦果を上げられたかというとそうは思えなかった。 実際の所、ドロテアはビスマルクやモニカというラウンズ内でも将という力量を持った人物と同行することが多かったし、それ以外でも戦略眼を持った皇族と同行する機会が多い。 天王山となった第二次トウキョウ決戦においても、ブリタニア本国でオデュッセウス等との後詰めを任されたのは、ビスマルクのように九州方面を託される力量やモニカのように好き勝手動くシャルルやシュナイゼルに振り回されない力量が備わっていなかったからとも言える。 逆に、そう言ったたしかな戦略眼を持った人物の下で起用された際の破壊力はブリタニア屈指でもあったが……。 それを示す機会も、枢木スザクという彼女以上の破壊兵器が存在したため、真価を発揮することは無かったが。 「でもよ、藤堂の大将じゃなかったら、いざルルーシュが表に出るって時に日本人をまとめるヤツが居なくねえか? 神楽耶姫さんじゃ戦場には立てねえだろうし、桐原のじいさん達じゃ胡散臭くてみんな信用できねえんじゃねえか?」 「そうだな。 そこで俺がと言い出さない辺り成長したじゃ無いか玉城」 「あんだよ。 俺だって勉強ぐらいはするんだぞっ!? これでも官僚志望だぜ?」 「志望だったら誰にでも出来るわよ……」 そんな調子で藤堂を否定したところで状況が変わるわけでも無い。 六家の長である神楽耶はたしかに日本の象徴でもあるが、彼女はまだ幼く、武人としての地位が確立されている藤堂のように軍の象徴となるには実績に乏しい。 平時であれば、その血筋だでも成り立つのだが、生憎と今は戦時である。 「いざとなれば、お兄様が神楽耶様と結婚すれば問題無いですよ。 顔合わせの時から神楽耶様は乗り気だったようですし」 「な、ナナリーっ!?」 「ふむ。 たしかに、ブリタニア皇族と日本の姫であれば家格としては十分ですな」 玉城の指摘に対してルルーシュがそんな思考をしている最中、ナナリーが口にした一言でルルーシュが凍り付く。 実際の所、ルルーシュは将来的にはそうなるべきだという思いもあったが、ナナリーの口からそれを発せられた事への衝撃が大きすぎて二の句を告げなくなっている。 「いやちょっと待ってよ、シャーリーやミレイの立場はどうなるってのよっ!!」」 凍り付いてしまったルルーシュと相変わらずの有無を言わさぬ笑顔なナナリーに、大真面目にルルーシュの嫁取りを頭に描くジェレミアと言った構図に再び室内が凍り付く中、カレンが声を荒げる。 彼女としては政略結婚等々より、あからさまな好意を向けているクラスメイトや生徒会長の方が印象深く、単純な個人の恋愛として捉えていた。 「ふえっ!? わ、私は、その」 「私は別に良いわよ~? 正妻は日本のお姫様でも、第二、第三夫人になるだけだし」 「か、会長~」 そして、カレンの爆弾に巻き込まれたシャーリーとミレイであったが、双方の反応は当人らしい反応であり、その傍らで崩れ落ちた騎士団準エースの姿も相まって、凍り付いていた室内が再び色づく。 当人達からしたら修羅場であろうが、今は個人の恋愛事情を語っている状況でも無い。 「殿下のハーレム建設は脇に置くとして、実際の所はどうなさるおつもりなのですか?」 「ドロテア、ハーレムなどとっ!!」 「……戯れ言です。 さっさと戻ってきてください」 収拾が付かなくなった場を収めるのはやはり実績ある人物の声である。 とは言え、ドロテアのちょっとした茶目っ気に分かりやすく反応したルルーシュに、さすがのドロテアも青筋を立てるが、すぐに元に戻ったルルーシュが指名したのは思いがけない人物であった 「む、スマン……。 まあ、藤堂の代わりは考えている。 神楽耶ではなく、カレンという存在がな」 「はぁっ!? 私っ!?!?」 「今更だろ? 俺ははじめにお前に英雄になれと言ったと思うが?」 「いや、あの時は覚悟を確認しただけでしょ?? そもそも、あんたがずっと組織を引っ張ってきたわけで、私なんか手駒だったんじゃ無いの?」 「だが、紅蓮を駆る姿に魅入られた者達も多い」 「戦いにあって、兵達はその象徴に神を感じ、命を賭して戦うモノとも言います。 戦場にあっては、紅月君の姿に勇気づけられた者も多いでしょうな」 「ジェレミアまで何言ってんのよ……。 第一、私は最初に無理だって言ったじゃ無い……」 皇族としてのルルーシュとレジスタンスとしてのカレンの邂逅の場において、ルルーシュはカレンに対して兄ナオトの意志を継ぎ、英雄として人々を引っ張る覚悟があるかと説き、カレンは柄じゃ無いとそれを断っている。 その事を思い返すと、ルルーシュはカレンに対してその身に流れる血の事にも言及していた事も。 「ルルーシュ、私を表に出すって言うのは、ブリタニアの血も利用したいって事?」 「そうだな。 仮に俺が皇族に戻ったとして、日本側の象徴として神楽耶が居るとする。 だが、そこにあるのは日本人だけの日本だ。 それでは俺達も困る」 実際、シャーリーやミレイのように家族ぐるみで日本に居を移している者も多い。 日本からすれば不当に奪われた土地に勝手に住んでいるという思いがあるかも知れないが、彼女達はそれに対する禊ぎとして共に戦っている。 その事実を無碍にすることは出来なかった。 「ブリタニア人とのハーフである私がトップに立つことでシャーリー達の身も守ろうって事? 随分都合が良い話ね」 「俺が日本人と結ばれたり、扇達がブリタニア人と結ばれたりしたら政略色が強くなるが、お前の場合は戦前からのハーフだからな。 両親の気持ちは分からんが、融和の象徴としての価値は高いぞ?」 「あんたねえ……。 人を値踏みするんじゃ無いわよっ!!」 実際、扇とヴィレッタが戦後に融和の象徴となったようだが、戦場にあっては恋愛譚よりは英雄譚を人は好む。 カレンの場合は両親も含めてその双方を満たす存在である。 当人にとっては迷惑な話でも、生まれによってその立場が決まる人間は得てして多い。 当のルルーシュやナナリーもその口だった。 「怒るな。 スザクや藤堂がちゃんとしてくれれば問題は無いんだからな。 その怒りは俺じゃ無くてスザクが戦場に出てきたときにぶつけてやれ」 「言われなくてもそのつもりよ。 でも、そう言われると本気でボッコボコにしてやりたくなったわ」 「俺も協力するぜっ!!」 「返り討ちにされて終わりだろ。 まあ、気持ちは分かるが」 そして、カレンの怒りを上手くスザクに押し付けたルルーシュは、カレンの勇ましい物言いに賛同して大声を上げる玉城とそれを窘める永田と言う構図に苦笑しつつ、解散を告げる。 最後は雑談のような形になってしまったが、基本的にカレンや玉城がいる場では最後まで締まった話にはならない。 緻密な戦略は基本的にルルーシュ、ジェレミア、ナナリーで決め、オブザーバーとしてルーベンやドロテア、モニカを含める。 シャーリー、ミレイ、リヴァルが加わることもあるが、彼女達は勉強という意味合いが強いのだ。 (いずれ、カレンか藤堂が加われるようになってくれると良いんだがな……) お開きとなった場で玉城を中心に騒ぐ若いメンバーやさっさとそこから離れて茶を嗜むドロテア、ジェレミア、咲世子と言った大人組の様子を見つめながらルルーシュはそんな事を考える。 「ルル、お疲れ様。 ナナちゃんも」 「ああ、ありがとうシャーリー」 「ありがとうございます。 ……ふふ、シャーリーさんも頑張ってくださいね」 そして、咲世子から紅茶を受け取ってきたシャーリーがルルーシュとナナリーの元へとそれを運んでくる。 とは言え、先ほどの騒ぎを引き摺っているナナリーの言にルルーシュもシャーリーも苦笑するしか無かった。 そんな様子に、ルルーシュは改めて、シャーリー達の存在の大きさを感じないわけには行かなかった。 (……俺にも立場がある。 シャーリーの気持ちにもミレイの気持ちにも、その気になれば答えることは出来る。 だが、それではあの男と同じでは無いのか……?) シャーリーへの思いを自覚し、ミレイの気持ちや神楽耶の立場を考えると、シャルルの行いを肯定するしか無くなってしまう。 そんな思いがどうしてもルルーシュの脳裏で引っ掛かりを覚えるのも事実だった。 同時に、そんな事を考えるだけの余裕もルルーシュにはあると言う事だったが、そんな余裕や平穏も戦時にあってはあっさりと覆される。 それは、乱世の宿命とも言える事実であった。

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冬唄

君が隣にいることいつか当たり前になってさ コード

第一話 漆黒】 辺り一面の __黒。 漆黒ともいえるそれはまるで僕の心情のようで、 みたことある何かのようで。 _『君がいて 僕がいて』 この世界で _『いつものように当たり前に過ぎていく日常は、』 どれだけ、手を伸ばしても _『ずっと続くと思っていたあの日常は、』 どれだけ、足掻いても _『君が隣にいたあの日々は』 どれだけ、君を想っても _『当たり前なんて存在しないとでもいうかのように』 道標となってくれていた光は灯らなくて。 _『君の隣にずっとずっといられないとでもいうかのように__。 』 それが今だとしたら、つまりどういうことなのか 少し考えればわかることを すでに理解しているはずのことを 素直に受け止められない僕は __ただの臆病者 それが君がいないことを表していることを、 もう、あの笑顔が見れないことだということも、 全部全部分かっているはずなのに。 この黒は、 ______君の瞳の漆黒に よくにている。 _『今、僕の隣に君はいない』 【第零章 君と僕。 第一話 Time is too long for those who grieve. 】 果てしなく広がる蒼穹、 小鳥の鳴き声、 柔らかく差しこむ春の光_。 意識を窓の外にうつし、それを見つめていると頭に流れてくるのは、 __今日みたいな空模様だったあの日。 それから、白と赤、そして黒。 目紛るしく過ぎていこうとした日々と、 夢見心地な微睡みの中でただ立ち尽くしている取り残された想い。 頭に浮かぶそれらの隅で最後に流れたのは、 純真無垢な笑顔と、 彼女の象徴である瞳と、 風になびき艶めく銀色の髪と、 何かを伝えようと開いた唇の動きと、 あの柔らかい眼差しと___ ・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ リリリリリリリリリリ・・・・・ ・ ・ ん、なに。 なんの音? まだ、ねみぃ……ん…だけど。 目覚まし? ふと時計を見ると目に飛び込んできたのは、長針七で短針が六にある時計。 そんな時計を横目に、そういえば久しぶりに夢見たなー、と思った。 何か懐かしいような寂しいような感じがした、あんまり思い出せないけど。 「……ん?ていうか、七時半?………急がないとっ。 」 【第一章 紘咲学園全寮制男子高等学校。 第一話 Time is too long for those who grieve. 終】 Page: [1].

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