セガ 名越 評判。 役員紹介

『新サクラ大戦』に『龍が如く7』! 2020年に向けて飛躍するセガゲームスの取り組みを名越氏に訊く【電撃PS】

セガ 名越 評判

今回は特別に、そんな名越稔洋氏に時間をいただき、入社から現在にいたるまでに起きたさまざまな出来事、ターニングポイントを振り返ってもらった。 とうとうと語られることになったエピソードのなかには、曰く「いままでは積極的にコメントすることを避けてきた」という、かつての上司でレジェンドクリエイター・鈴木裕氏にまつわるものも! ゲームファンなら一読の価値ありのインタビューです。 そもそも、名越さんが入社したころのセガというのはどんな状況だったのでしょうか? 名越入社当時はまだ2Dゲーム全盛期で。 セガも業務用ゲームではすでに有名になっていました。 何よりメガドライブを出したばかりのころでしたから、「つぎは家庭用! 打倒任天堂!」と燃えていましたね。 俺が入ったのはアーケードの部署だったんですが、ハイテクランドっていうゲームセンターを全国区にすべく、どんどん増やしていました。 ゲーム業界自体の景気もよかったんですよ。 いま思えば、こと業務用のゲームにおいては明るい未来がある程度確約されていた時代だったんですね。 そう考えると、俺は楽な時代に入社したのかもしれないですね。 名越一方で家庭用は、海外で独自のブランド力を持って評価されていました。 タイトルの力では決め手に欠けている部分もありましたが、『』をきっかけに何かが変わり始めて。 「ひょっとしたら、セガは家庭用で任天堂を超えられるかも?」みたいな甘い期待のある、いい時代でした。 ひとつひとつのコンテンツを作るという意味で苦労はありましたけど、それぞれが作っているものにプライドを持って仕事をしていましたし。 「熱いプロ集団だなあ」って思ったことを覚えています。 当時の区分けで言うと、第1が業務用ソフト、第2が家庭用ソフト、第3が家庭用ハード、第4が筐体などのメカ関連、第5が業務用ハード、第6が『』なんかを作っていた教育系、第7がオモチャでした。 第8は当初、第1研究開発部の分室だったところが独立して作られた部署だったので第1と同じように業務用ソフトを担当していました。 その第8研究開発部ができたころに、俺が入社したんです。 第1と第8がどう違うのかと言えば、第8研究開発部っていうのは体感ゲーム専門のチームだったということですね。 当時の俺のイメージとしても「セガと言えば体感ゲーム」というものだったので、そこに所属できたことはうれしかったですね。 反面、第8研究開発部は鈴木裕さん率いる社内でもトップクラスのチームだったので、「なんで俺がここに配属されたんだろう?」みたいな疑問とか不安はありました。 後から聞いたところ、このチームは、鈴木裕さん本人が直接欲しい人材を決められたという時代で。 いい人材を最初に取れる立場だったらしくて。 だから、仕事のできる人間がすごく多かったんですよ。 だから「なぜ?」という気持ちがすごくあって。 鈴木裕さんに「なぜ俺を選んだんですか?」とも聞かなかったですしね(笑)。 当時は「俺はほかの人よりも知識がない」という強い認識を持っていたぶん、ヘンに自分を出すこともなく。 結果論ですけれど、あらゆることを素直に受け入れて学ぶという姿勢は誰よりもあった気がします。 もちろん専用のグラフィックツールがあって、それを使って作業するわけなんですけれど、みんなデキる先輩だから俺なんかより圧倒的に作業が早くて。 そもそも、俺はそのグラフィックツールの使いかたからして、理解が追いつかないんですよ。 「この機能は何のためにあるんだろう?」みたいなところがスタートだったので。 名越新人なのでお使いみたいな仕事も多く、絵を描かせてもらうチャンスって少なかったんですよ。 30年も前の話なのでもう時効だと思うんですが、昼間はデザイナーの仕事とは関係ないような雑用をひたすらやって、夜になると先輩に「これ明日までにやっといて」なんて言われたりする(笑)。 名越その時点で徹夜になるのは間違いないんですけれど、人がいないオフィスで時間を気にせずじっくり絵を描けるというのは、俺は楽しかったし、価値がある時間だと思っていました。 ただ、一生懸命作ったモノでも翌日見せると「何だこれ」とボツにされたりするんですけれど。 名越そうですね。 ダメと言われるのは悔しかったけれど、実際問題、周りはデキる人ばっかりなんですよ。 冗談抜きに俺の10倍くらいのスピードでいいものを仕上げているような人に言われるわけだから、ぐうの音も出ないわけです。 当時は、「クビにはならないかもしれないけれど、違う部署に飛ばされたりするかもしれないな」くらいのことは思っていました。 ただ、先輩たちはきびしいものの、仕事を教えてはくれましたけどね。 というのも、入社して1年くらいのあいだにけっこうな人数の先輩が……言ってみれば鈴木裕さんに謀反を起こして、会社を辞めてしまうんです。 もともと2チームあったんですが、1チームぶんくらいの人が丸々いなくなって。 同期の中にも、先輩について行って辞めたヤツもいましたね。 その時点で辞めるという選択肢はなかったかな……。 ただ、「会社ってこういうことが起こり得るんだな」とは思いました。 それまでよりもさらに不安な気持ちにはなりましたけれど(苦笑)。 上司の鈴木裕さんも「参ったな」という感じではありましたけど、すぐに前に向くポジティブな人でしたから。 でも、このときが俺のクリエイター人生の最初のターニングポイントでした。 辞めていった人たちというのは、合わない人たちだったんですね。 まあ、そのうちに俺も合う、合わないという問題に直面する立場になるんですけど(苦笑)、最終的には合わなくて部署を持つという形で独立することになる。 歴史はくり返すんですよ。 ただ、くり返す歴史がもたらすモノって悪いモノばかりではないと思うんです。 名越考えかたを切り換えるだけで新しいモノが生めれば、苦労なんてしないんです。 環境とか立場が新しいモノに及ぼす影響というのは確実にあって。 例えば、出ていった先輩を見たとき、俺からすれば若くしていい給料をもらっているように見えたから、「ワガママだな」って思っていたことも事実です。 そこは、自分が鈴木裕さんから独立して部署を持つとなったときにどう思ったかと言えば、「クリエイターとして、ひとりの人間としてがんばっていれば、そういう衝突は必ず起こることなんだな」って思えたし、むしろそれが普通なんだな、と。 これは会社に長く居続けて、くり返す歴史を体験したからこそわかったことだし、その経験があったから生み出せたものも確実にあると思いますね。 名越最初は、Model1と名づけられた業務用の基板を使って『』を作りました。 その後に『』が出ることになるんですが、じつは『バーチャレーシング』が出るときに『バーチャファイター』の基礎となるものはできていたんです。 「これで格闘ゲームが作れる!」っていうのは、若い連中はみんな言っていたんです。 名越かつて『』があり、『』があったように、進歩の象徴は体感ゲームで表現してきたんです。 そんな歴史があるので、格闘ゲームをフラグシップに据えるというのは、会社的に受け入れられない。 また、『』がヒットの兆しを見せていたものの、その焼き直しみたいなものをポリゴンで表現してヒットするのか? という懐疑的な意見も多かったんですよ。 その結果、まずは『バーチャレーシング』からスタートし、その間にモーションテクノロジーの研究を発展させることにしたわけです。 例えば……当時俺たちが使っていたドット絵を打つグラフィックツールは、社内で作っていたんですよ。 定期的にバージョンアップはするんですが、ツールにはマザーボードが入っているので、アップデートのたびにロムを差し換えていました。 ところがある日、鈴木裕さんが「これからの時代はマッキントッシュだ! このツールの中身をすべてマッキントッシュに移し替えよう」と言い出して。 俺はよくわかっていなかったから「わかりました」なんて答えたんですが……そこからが地獄でしたね。 名越まず、マッキントッシュのプログラムを書ける技術者が、当時の日本にはほとんどいなかったんですよ。 名越なので、まずハードウェアを理解してプログラムを書ける人を探すところからがスタートでした。 やろうとしていることと予算を持っていろんな会社に聞いてみたんですが、できないという回答ばかりで……。 なんとか「やれるかどうかわからないけれど、やってみたい」という会社を見つけることができました(苦笑)。 おかげでどうにかこうにかプログラムはできたんですけれど、今度はそのプログラムの処理が遅いという問題が発生したんです。 名越いま思えば、ゲーム業界で最初にマッキントッシュを大量導入したのがセガだったと思います。 100台単位で入れたので。 でも、これまでやっていた手間のかかるグラフィックツールの更新作業がフロッピー1枚でできるようになったので、完成した後にその恩恵がどれだけ大きいかを実感しましたね。 名越そうですね。 ただ、そこの話にはまだ続きがあって。 グラフィックツールを使っていたスタッフは「こんな機能が欲しい」というアンケートみたいなものを定期的に書いていたんですよ。 社内で作ったツールを作っていたときはハードの部署にそれが行っていたんですが、マッキントッシュを導入してからは、それが俺のところに来るようになったんです。 社外の会社との窓口ですから。 名越で、いざそのアンケートを見てみたら「使えない!」っていう意見が大量に寄せられて。 それは慣れ親しんだツールから一斉に新しいものに変わったら、当たり前ですよね。 しかも、当時はApple製品が世界を席巻するなんて思ってもいない時期ですから。 それこそアンケートに「死ね」とかも書かれるくらいでしたね。 ただ、メゲていてもしかたがないので、アンケート回答に書かれた具体的な要望を聞きに行ったりして……。 その時点でデザインの仕事なんてしていないですよね(笑)。 名越たいへんな思いをしてツールを整えたわけですが、それによってもたらされたものは大きかったと思います。 で、そのパソコンをつないだらオンラインになっちゃうわけですから、本当に鈴木裕さんは先見の明があったんでしょうね。 インフラがないときにインフラを見越して何かをやるっていうのは、本当に多難なことなので。 それを入社から数年しか経っていない人間にやらせてしまうのもスゴい話なんですけれども(笑)。 いまでこそ笑い話ですけど、当時は会社に行くのが心底嫌でしたからね。 名越廊下でデザイナーの先輩とすれ違っても、「この人も俺に怒ってるんだろうな」っていう風にしか思えなかったですからね。 ある意味、メンタルは鍛えられました。 そうそう、話はちょっと飛ぶんですけれど、俺が昇進したときに試験があったんですね。 適正と筆記試験だったんですけれど、その筆記試験の第1問が「社長の名前を漢字で書け」というものだったんです。 名越俺、その問題を間違えたんですよ(笑)。 でも試験にはなぜか受かって。 のちに聞いたところによると、適性検査の成績がよかったおかげだ、と。 で、そこからしばらくあいだを置いて、(当時)鈴木裕さんの上司だった鈴木久司さんと話をする機会があったんです。 名越振り返れば耐えられたので、ストレス耐性は高かったんでしょうね(笑)。 話を戻すと、そんなこんなでデザインとは関係のない仕事もこなしつつドットの打ちかたを覚えたと思ったら……気付けばポリゴンの時代に突入するわけです。 会社が採用する学生も、3Dの知識がある人間を多く選ぶようになっていました。 もちろん世の中にはまだまだドット絵のゲームは山ほどある時代でしたけど、セガのなかでも最先端を行くというミッションを背負っていた部署にとっては、ゲームを3Dで作っていくという目標が決まった以上、ドット絵なんて打っていられないわけです。 名越「ポリゴンでゲームを作るということは、いずれテクスチャーマッピングという技術は必要になる」。 会社はそう判断して、俺はドット打ちから、テクスチャーマッピングの開発に関わるようになりました。 グラフィックを進歩させるには、デザイナーの意見というものが必要になってくるので。 名越でも、当時は会議があってもそれこそちょっとしたコメントをする程度でした。 そもそも技術面がよくわかっていないので、強い要望をしても「そんなのできないよ」と一蹴されるような状態でしたね。 ただ、そこから何となく新しいマザーボードであるModel2の開発に携わるようになっていったんです。 やっぱりModel2のときも、そのパワーを世に知らしめるのはレースゲームだろうということで、レースゲームを開発していました。 そんな環境下で、名越さんがどうやって『デイトナUSA』プロデュースをする立場になっていったのですか? 名越当時、Model2の発表会をやることになったのですが、まだ不具合が多くて、お披露目ができる状態ではなかったんです。 発表会を中止するかどうかの瀬戸際だったのですが、「Model2の性能自体は見えているのだから、こういう絵作りができるよね」というシミュレーションをして、それを映像化して流せばいいじゃないか、ということになったんです。 「実機は不具合が多くて動かせないけれど、ウソではないから」という感じで(笑)。 名越あくまでも予想図なんですが(笑)。 で、その映像をトレーラー風にしたかったけれど、それができるスキルを持った人がチームにいなかったんです。 たまたま俺が学生時代に映像を勉強していたので、その映像制作を俺の主導でやることになって。 いま見たら陳腐な映像なんだけど、俺なりに「レースの熱いバトルをここまでリアルに表現できる」という想いをぶつけたものを作ったんです。 そうしたら、そのトレーラーの評価がヘンに高くって。 トレーラーの件もあって「お前がディレクターをやってみろ」と言われました。 そのころはプロデューサーという言葉がなかったので、総合的にゲームを見る立場というのはディレクターだったんです。 当時の俺は、絵もしばらく描いていなかったし、CGグラフィックスのスキルは新卒で入社してきたヤツのほうがあるような状態。 とくに3DCGは石井(石井精一氏。 後に『』を手掛け、株式会社ドリームファクトリーを立ち上げる)に任せておけばいいモノができるので、張り合っても仕方がないわけです。 そんな環境もあったので「ディレクターを経験させてもらえるのであれば、やらせてもらおう」とその話を受けたんですけれど……そこからは吐きそうなほどキツかったですね(苦笑)。 俺はドライブゲームを極める道に進み、石井は『バーチャファイター』を作ることになって。 結果的に石井も、格闘ゲームの自分なりの極めかたというものを求めてセガを辞めてしまうことになるのですけれど。 『デイトナUSA』開発時は、どういったところがキツかったのでしょう? 名越「ドライブゲームとしてのおもしろさ」の答えが見つからなくて、おかしくなりそうでしたね(苦笑)。 いま考えると、いい経験だったとは思うんですけど。 そもそも、マザーボードが完成するまでに2年ぐらいかかっていたんです。 とくに開発初期は、板を表示させてそれがクルクル回っているようなものをずっと見ているような状況で。 俺からすれば「何のことやら」でしたね(笑)。 もちろん並行して企画はずっと考えていたんですけれど、新しいマザーボードでどんなことができるかはわからないので、空想で考えなければならない。 いまなら、パソコンでシミュレートできたりするんですけれど。 名越そうして、2年越しでボードが完成したところで、いままで溜めに溜めたアイデアをぶち込んでいくわけですが、道路があって、ハンドルがあって、クルマが走るという、レースゲームとして当たり前のことができるようになった段階で、「じゃあこのゲームはどこがおもしろいのか?」と悩んでしまったんです。 もちろん、絵は当時としては革新的にキレイだったのですが、「絵は絵でしかない」ということ、「ゲームとしてのおもしろさと絵の美しさはイコールにならない」ということに気付かされました。 本当の意味で初めてゼロから作ったタイトルだったので、いい勉強だったのですが……。 名越でも上司からは「いつになったらゲームができるんだよ」なんていうプレッシャーもかかるわけです。 開発から3年くらいが経つころには、完成しないゲームを前にチームの雰囲気も険悪になっていましたし、俺は俺で「自分にはディレクターはできないんじゃないか」と思い始めて。 ある日、「そもそもこのゲームは何がダメなんだろう?」という話になったんですが、当時のメインプログラマーが「うまく走らせられないものを走らせるからおもしろいんだ」と、禅問答のようなことを言いだして(笑)。 名越そう。 よくよく考えてみればその通りで、失敗する要素が自分のミスくらいしかなかったんです。 というのも、当時の俺は「恐る恐るアクセルを踏んだり、ハンドルを切るようなものってストレスじゃない?」って思っていました。 でも、そのメインプログラマーは「それは現実の話。 ゲームと現実の差は死ぬかどうかの差であって、死なないのがゲームなんだから。 ストレスとは無関係だ」と言ったんです。 もっともな意見ですよね。 そんな中で各担当者が勝手におもしろそうなものを探しつついろいろ見ていって、最終的にみんなが「これがおもしろい」と言ったのが、ドリフトするクルマだったんです。 そこからは、「おもしろさのためなら物理法則も曲げてしまえ!」という発想になっていって「ドリフトが気持ちいいから、長く続けると加速するようにしよう!」と。 名越言わばSFの世界なんですけれど、「現実を超越できるのがゲームだろう」と割り切れて。 そこからの開発はあまり時間がかからなかったですね。 ただ、ある程度できた段階で社内での評価を聞いたら……まあメタメタに言われて(笑)。 「こんなうまく走れないクルマは見たことがない」だとか「どんな物理演算をしているんだ」とか。 「こんなモノを世に出しても売れるわけがない」なんてことも言われました。 でも、意図してそうしているものと、意図せずそうなったものは訳が違うので、社内の評価はいったん無視することにしよう、と。 名越で、試しにロケテストに出してみたら、これがまたバカみたいにインカム(売上)がよかったんです。 名越そうしたら、会社も手のひらを返して「いつ出せるんだ?」、「工場の手配はいつ整うんだ?」みたいな感じになって(笑)。 結果的には大ヒットになったんですけれど。 名越そう、そういう手のひら返しのようなことがあるというのは、じつは『龍が如く』より前に『デイトナUSA』で経験していたんです。 会社の意見も大事だし、会社にいるからこそできることもあるけれど、誰のためにゲームを作っているのかと言えば、お客さんのためであって、会社じゃない。 それは、『デイトナUSA』のときに痛感しましたね。 名越『』はModel3と同時に開発を進めていたんです。 表示できるポリゴンの数や色が一気に増えて画面も綺麗になったし、それなりにはヒットしたんですけれど、俺は当時怖くてしょうがなかった。 名越その根拠は「Model3だから」っていうことなんですが、俺としてはみんなが言うほどのヒットする根拠が『スカッドレース』に見出せなかった。 「それなりにヒットはするだろうし、評価もされるだろう」とは思っていたんですが、それが『デイトナUSA』以上かと言われれば、そこまでではないだろう、と。 手もとの数値で売り上げ予想を考えてもヒットの根拠に乏しかったですし。 当時は売り上げ予想といっても、「全国にお店が何店舗あって、体感ゲームが置けるスペースがどれくらいで、お店の筐体入れ換えタイミングはこれくらい。 だから逆算でこのくらいのインカムがあればいいだろう」というような、ざっくりしたものでしたけどね。 名越社内的にはそうした売り上げ予想が一定の水準に達する見込みがあれば、ゲームをリリースすることはできます。 でも、比較対象の『デイトナUSA』のヒットがあまりにもスゴすぎた。 時間をかけて達成したものですけど、最終的に200億円くらいの売り上げだったかな? まあ、当時は「すげえな」思いつつ、あまりピンときていなかったんですけれど。 で、蓋を開けてみれば、『スカッドレース』はその半分を下回るくらい。 それでも充分ヒットなんですけどね。 会社には怒られちゃうんですよ(笑)。 ただ、やっぱり自分でも『デイトナUSA』に届かないだろうと思っていたところがあるわけです。 届かないのはわかるけど、どれくらい届かないかがわからないという感じ。 会社的には「届くようにするべき」なんでしょうけど、その手法も見出せなかった。 いま思えば、当時は稚拙だったな、と思う部分はありますね。 加えて、そのくらいの時期から「俺は一生ドライブゲームを作り続けていていいのか?」っていうふうにも思い始めて。 当時の評価で言えば「ドライブゲームは鈴木裕さんにしかおもしろいものは作れない」というものだったのですが、そこに風穴は開けられたし、それはそれでよかったと思うんです。 けれど、ほかのこともしてみたくて。 ある意味、いまのMO的な遊びかたができました。 名越当時はオンライン環境もいまほど整っていなかったから、ゲームセンターという環境がもたらす遊びかただとは思っていて。 ただ、インカムがあまりよくなかったのが欠点でしたね。 100円で長時間遊べちゃうので。 名越あとで聞いたところ、『スパイクアウト』を撤去するとお店にお客さん自体が来なくなるらしくて、しばらくは置き続けたみたいですけれど(笑)。 名越これまで積極的に鈴木裕さんに対してコメントをすることは控えてきてたんですが……いまだから言えるという感じでいいかな(笑)。 正直、鈴木裕さんから学んだことは多かったですね。 即効性のある出会いを求めようとか、相手を選ぼうとすると、人や仕事を選ぶダメな人間になってしまうよって話したんです。 で、話を戻すと、俺にとっての価値のある出会いだったのが鈴木裕さんですね。 当時はよく怒られたし、怒っている理由もよくわからなかったし……。 「なんて勝手な人なんだ!」って思ったこともありました。 正直、恨みに思ったことも瞬間瞬間ではあったかなあ(笑)。 不満とか恨みって、時間が消してくれるんですよ。 だから、いまは負の感情はゼロ。 そして残ったものと言えば、鈴木裕さんに教えてもらったことのありがたみしかないですね。 だから、価値のあった出会いだし、30年経ってそう言い切れるようになったんです。 ちなみに、最初に鈴木裕さんに出会ったときはどう思われたのですか? 名越会ってすぐわかったのは、「この人ってスゴい人だな」ということですね。 ただ、「こういう人に限って、世の中は絶対理解しないんだろうな」とも思いました。 その予感が的中していたということは、時間が経つにつれて嫌というほど思い知らされるんです。 そうなんですか! 名越正しいことを正しいと貫き通すんですから、そりゃ揉めますよ。 名越そう。 本当に純粋な人なんです。 あとは、何かのために何かを犠牲にするということを考えないですね。 例えば「Aはカッコいいけどわかりづらい。 Bはわかりやすいけどちょっとダサイ。 どうしよう?」なんて話を現場でしていても、「カッコよくてわかりやすくしろ」としか言わないし、それ以外の結論は絶対に許さないんです。 名越「そうは言っても、もう時間がないんです。 このままこれが世に出てしまってもいいんですか?」なんて言ってもダメ。 「時間がなくなったのはお前たちの責任だろ!」ってガンガン怒られて。 半泣きになりながら考え直すとか、そういうこともありましたね。 そのうえ、結果的にいいと思えるモノができたらできたで「これだけのことができたんだから、もっとできるよな!」って言われてOKが出なかったりするんです。 名越「試されていたんだ」という腹立たしさと「じゃあやってやるよ」という反骨心で、またがんばることになるんですけれど。 人の焚きつけかたも知っていたんでしょうけれど、独特でしたね。 それに合う人は鍛えられてどんどん伸びていくんですが、合わない人も当然出てくると……(苦笑)。 名越鈴木裕さんは、とにかく純粋に高みを目指してモノを作りたいだけなんです。 クリエイターとしてそれが悪いはずはないんですが、あまりにも純粋なものって……時として人を傷つけるし、理解されないこともある。 名越逆に言えば、純粋さがもたらすものがどんなものかという勉強にもなりました。 でも、いまになって思うと、俺も鈴木裕さんのようなことを言っていることがあって。 2択や3択で物事を決めようとしている段階で、小さい選択をしようとしているのではないかという恐怖は理解できるし、あのとき鈴木裕さんが言っていたこと、叱られたことの中身というのは、ものすごくよくわかるようになったんです。 やっぱり叱るときも痛いところを突いてきますからね。 名越同じ作り手だから、こちらが弱いなと思っている部分をわかって叱るんです。 だからこっちはぐうの音も出ないわけで。 「本当にこれがいいと思っているんだったら、この仕事辞めたほうがいいよ」なんてバサッと言われたりすると、悔しいと思いますし。 でも、言われてよくなったことを実感すると「悔しいけど、あそこで言われなかったらこうならなかったな」っていうものが残るので。 当時は「いつか越えてやろう」と思うことの連続でしたけど、いまは「ありがたい」という感情しかないですね。 ゲーム作りのイロハを教えてもらったので。 名越そうですね。 開発中の筐体に乗り込む前から文句を言い出したりして「とりあえず乗ってもらえませんか?」みたいなこともありましたけどね。 乗ってくれても、ハンドルをちょっと切っただけで「ダメ」って言われて。 何がダメかも言ってくれないですから。 ややこしい割烹の大将みたいな感じでしたね(笑)。 だからこそ、「この人に褒められたい」という弟子の気分でした。 せいぜい「まあいいよ」くらいでしたから。 そもそも、他人が作っているものより、自分が作っているもののほうが遥かに強い興味を持っている人でもありましたね。 これは愚痴とかじゃなくて笑い話なんですが、自分でゲームを作るようになってから相談に行ったりしても「それはいいから、これどう思う?」みたいな話にしかならないんです。 しかもそれに対して俺がコメントをしたらしたで、「そうか。 じゃあお前のチームから人を出してくれない?」みたいなこともありましたし(笑)。 実際にメンバーを送ったんですか。 名越期限付きで送りましたよ。 送り出したメンバーには恨まれましたけど(苦笑)。 名越人としての評判は賛否がわかれる人でしたね。 ただ、モノ作りっていうのは真剣勝負で、突き詰めると人間性がどうかなんて関係ないんですよ。 そういう評価基準みたいなところも鈴木裕さんを見ていて覚えたところもありますし。 モノ作りにおいては、いい人でいる必要なんてどこにもないって思うようになりました。 名越『』なんてそのいい例ですけど、あんなに高い理想を持ってゲームを作ろうとすること自体がある意味どうかしているんですけど、それをやろうとした人であり、実行した人ですからね。 チャレンジにはワクワクと恐怖がついてくるものだと思うんですけれど、鈴木裕さんはどんな状況においてもワクワクが勝っているので、恐怖についていくら説明したところで止まらないんですよ。 「失敗したら死ぬかもしれないんですよ?」って言っても、「でも、生きてたらこれが手に入るんだぜ?」って言う人なので。 名越クリエイターとしてはそれが正しいですし、ふつうの人は勝てないですよね。 生き様としては、いまだに魅力のある人だと思います。 鈴木裕さんがいなかったら、ゲーム作りのきびしさも楽しさも理解できなかったと思うので。 あとは、あらゆる場面で本質的なところを教えてくれた人でもありましたね。 例えば、「何で筐体のハンドルの位置はこの高さじゃないとダメなの? レバーの位置は何でここなの? 誰が決めているの?」みたいな話にもなったりして。 「女の子が筐体に乗らない理由はスカートの中が見えるからだとして、どうやっても見えてしまうから諦めるのと、見えないものを作るのとでは、どっちが価値が高いと思う?」なんて話もされて。 俺たちはゲームの中身を作ることが仕事でしたけど、鈴木裕さんはそうしたユーザー体験までを含めて、ひとつの製品として捉えていて。 そういう意識を持たせてくれたりもしましたね。 名越さらに、遊ぶ人が不満に思っていることを取るだけじゃダメで、それを越えたものを作らなきゃダメなんだよ、ということを教えてくれたり。 いまで言うマーケティングの観点ですね。 絶対にマーケティングの本なんて読んでないはずなんだけど(笑)、直感的にそれがわかる人でしたね。 純粋だからこそ、純粋な疑問の積み上げを自分なりに解決し続けてきたんでしょう。 それが俺にとって新鮮だったし、自分でもそういうふうに考える癖がついてきて。 疑問に思ったことをいっぱい人に聞くようになりました。 そうやって理由を探っていくと、そうせざるを得ない事情があったり、単純にお互いが気付いてなかったりで。 それが後者であれば、よりよく改善できたりしたこともあって。 当たり前のところから疑っていくということが大事なんだと思わされましたね。 ちなみに、鈴木裕さんと同じくらい、根本的なところから名越さんに影響を与えた方はほかにいらっしゃいますか? 名越いないですね。 俺がゲーム作りをするうえで、鈴木裕さんほど大きな影響を受けた人はいないです。

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セガ名越「龍が如くシリーズが飽きられた時に備えて、日本製のしっかりとしたTPSを開発したい」

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ピエール瀧容疑者の逮捕はびっくりしまた。 夜中にYahooニュースを見てたら、その画面から電話が鳴りーのみたいな(笑)そこからメールとか深夜まで鳴り止まない状態。 しまには「知ってるよ!」とか、そういう感じ(笑) その時からどう対応するかの相談をはじめた。 うちは早めに販売自粛宣言をした。 対応に正解はない。 結果として、うちは自粛して僕もそれに一票を入れた。 意見として「やりすぎ」「作品は関係ない」という指摘もあるが、それについても「そんなわけない」とは思わない。 どっちも考えられることだと思う。 じゃあ、なんで自粛に一票を入れたのかというと、まだ発売して間もないし、過去のかなり時間の経過したアーカイブであれば価値観も違うかも知れないけど、 つい数ヶ月前に発売されたものとなると話しは違うかなと思う。 実は『ジャッジアイズ2』が決まっていて、『3』まで計画があるなんてニュースを見たが「誰がやねん」と思った(笑)。 影も形もないのに勝手なこと言ってるなぁ 今回の件で、応援メッセージもあったし「ざまぁみろ」みたいなコメントも来たけど、逆に言うとタレントを使ったからこういうことが起きやすいとか関係ない。 うちのスタッフだって危ない橋を渡ったらそうなるかもしれないし、タレントだからという時代ではない。 悪いことがあれば、責任取らないといけない。 駆け込み需要のように売れたのは寂しい。 Amazon販売ランキングで3位になった。 最初から買ってよーって心の中でちょっとだけ思った(笑)。 どっちにしても嬉しいんですけど。 セルスルーは97%くらい。 世の中に在庫はほぼ残っていない。 (次回作があるとしたら)少なくとも羽村は出せない。 夜中にヤフーニュースを見ていたら電話やメールが鳴りやまなくなり、 しまいには知ってるよ 笑 とかそういう感じの、その時にはどう対応するか相談していた。 うちは早めに販売自粛を宣言した。 この件の対応に正解はない。 結果うちは自粛して僕もそれに一票入れた。 よくやりすぎじゃねーかとか作品は関係ないでしょとか言われるが、それは僕はそんなわけないよとも思わない。 だからそれはどっちも考えられることなんじゃないかなと思うんですよね、 じゃあなんでお前自粛に一票入れたのと言われたら、出して(発売して)間もないし、 過去のかなり時間の経った作品だったら価値観も違うかもしれないけど、 つい数ヶ月に前にまだ売ってるものとなるとちょっと話は違うかなと…。 実は「ジャッジアイズ2」は決まっていて「ジャッジアイズ3」まで実はなんとかで・・・とかで誰がやねんとかね。 影も形もないのに勝手なことを言って面白いなと思ってみてた。 タレントさんを使ったからこういうことが起きやすいとかそういうの関係ないじゃないですか。 そういうのってスタッフだって危ない橋渡ったらそういうことが起きるかもしれないし、タレントだからという時代じゃない。 不味いことがあったら責任をとらないといけない。 Amazon一時期3位までいきましたよね。 最初から買ってよーと心の中でちょっと思いました。

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セガ、PS3「龍が如く3」。名越稔洋総合監督直撃インタビュー

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来年には創立60周年を迎えるなど、ゲーム業界の一翼を担ってきたセガゲームス(同グループのアトラスも含む)。 10月31日発売のを皮切りに、と、2019年の年末から2020年にかけて多くの人気タイトルが発売されます。 『龍が如く』の最新作をRPGにジャンルを変え、一方では『サクラ大戦』シリーズをアクションにするなど、常にチャレンジをし続けるセガゲームスは、いつも以上に多くのゲームファンから注目を集めています。 名越稔洋氏(以下、敬称略):そもそも『サクラ大戦』はセガフェス2016で実施されたファン投票で復活期待部門1位になり、新作を作ろうという話になりました。 その後作ってもいいと会社が判断したのは、IP戦略を強化し、過去のIPのリバイバルを含め積極的に取り組むという動きがあり、『サクラ大戦』がいまだに根強いファンが多いIPだからでした。 でも、当時ファンだった方たちは皆歳を重ねて当時ほど熱狂的に応援してくれるとも限りませんし、女性のファンもいますが男性ファンの比率が高い作品です。 だから作るとすれば、新しいファンを取り込めるような作品にしたいと考えました。 私は『サクラ大戦』がどんなゲームであるのかは理解していますが、旧来のファンに対して刺さるものをどのように作ればいいのかというのは、あまり理解していないんです。 でも、既存のファンに向けただけの作品になると、セールスもある程度は見えてしまいますし、ゲームのスタイルにしてもターン制シミュレーションをベースにしたものになり、ジャンルとしても制約があることは感じていました。 だから、逆にぶち壊す部分をどのくらいまで許容できるならば作ってもいいのかなと、私は考えていたんですね。 ただ、それをやると『サクラ大戦』ではなくなるという人もいて、私は壊せないならば制作に反対だったんですよ。 ですが、いろいろな議論を交わし、「やはり新たなファンも増やしていかないと」となり、壊す方向に会社も舵を切ってくれました。 私は言ってみれば新しい『サクラ大戦』を生むうえで、ゲームを作るというよりもぶち壊す方向に舵を切る船長です。 要素を加えることはいくらでも加えられますが、まずは加える前に変えるものから決めなくてはいけません。 じつは"檄!帝国華撃団(以下"ゲキテイ")"の歌を変えるというアイデアもあったんですよ。 でも「符号として残っても新しいものを生む上で抑制には働かないよね」となり、残すことになりました。 「バトルは変えるべきだよね、"ゲキテイ"はやっぱり残そうよ」とか、「ならば田中公平先生は必要だよね」など、どんなスタイルのゲームにするのかを1つ1つ丁寧に組み立てました。 名越:開発が始まってからの話をすれば、『サクラ大戦』におけるリアルタイムのアクションゲームは、あまり誰も想像がついていませんでした。 名越:あとは開発陣を信用していないわけではありませんが、ほったらかしにしていると「やっぱり『サクラ大戦』ってこうじゃない?」と、決めつけた誰かが徐々に舵を切り始めて、方向が従来のものに戻りがちです。 このようなことはチームではよくあることで、「絶対に戻さない」「この道に行くんだ」「この方向で行くんだ!」ということを見届けることが、基本的に私の今回の仕事でした。 だから、私はイベントごとがあってもステージには立たないし、作っているというよりは仕向けた人なので、そういう立場での参加でした。 実際に触れた方の声を聞いて「あ、やっぱりこんな声が出たか」など、手応えという面ではいかがですか? 名越:賛否はあったと思いますが、基本的には受け入れてもらえたと思います、また、従来のバトルシステムに『サクラ大戦』らしさを感じていた方が、思ったよりもいなかった印象です。 そこは変えて正解でした。 あとは、いろいろな作家さんとのコラボレーションでしょうか。 今は昔に比べるとコラボレーションが当たり前の時代になりましたが、『サクラ大戦』らしい豪華さの受け皿が、ゲームのなかにもたくさんあるんですよね。 いろいろな作家さんを受け入れたり、多彩な設定を受け入れたりとか、その要素をずいぶん昔から持っている作品なんだと。 当時は10数年後を見据えて作っていたわけではありませんが、そういった要素を自然にふんだんに使えたという意味では、未来に向けた非常に広がりのある、懐の深い設定だったんだなと、感心し直しました。 いろいろと変えましたが、根っこの部分は変わっていないわけですから。 とくに新主人公については、発表当時は「やっぱり主人公は大神(一郎)でないと」という意見もありましたが、すごく好意的に受け止められていると思います。 名越:そのあたりはむしろ『サクラ大戦』をわかっている者たちが作った部分ではあるので、そこはよかったのではないですかね。 ただ、それが花開くかどうかは、正直今からなので1つ1つ丁寧に慎重にやっていかないと考えています。 あとはゲームIPの横展開ですから、ゲームがしっかりしていないとダメだよという話とか。 今の時代なかなか思ったようにいかないから、まだ心配は尽きないところではありますけど、各担当は一生懸命にやっているから上手くいってほしいなとは思っています。 ただ、これをある種のリスクヘッジと取るのか、むしろリスクと取るのかだと思います。 両面を持っているので、成功しなければ時間とお金のムダ遣いで、成功すればIPの浸透を加速させる要素になりつつ、プロジェクトとしての収益にもなります。 これはもう本当にやるかやらないか、なのかなと(笑)。 でも、セガゲームスはIPをたくさん持っていて、これまでもいろいろなアイデアが出たり消えたりしていますが、『サクラ大戦』ほど大きな議論になったIPはなかなかないんですよ。 私は上手くいくと思います。 ゲームが上手くいけば、結局のところほかも上手くいきますし。 名越:ドラマ性の高いコンソールゲーム、いわゆる昔で言うところのアニメファンたちに向けて作られたタイプの作品は、今は待っていてもあまり出てこないので、卒業しちゃった人もいると思います。 先日任天堂さんからNintendo Switch Liteが発売されましたが、気づくと今は携帯ゲーム機市場がなくなってきています。 コンソールでの大作IPの展開が限られているなかで、「そういうゲームをしっかりとしたハードで遊ぶのは楽しいよね」「情熱を持って作られていればおもしろいよ」と伝えて、遊んだ方にも「おもしろかった」と拡散してほしいなと。 "ゲキテイ"がよかったではなく「『サクラ大戦』っておもしろい」というキーワードから広まって行ってほしいですね。 アトラスの『ペルソナ5』がドカンと当たったときの要素と比較するべきか別としても、大半のユーザーは手掛けたクリエイターがきっかけで買ってくれるわけではないんですよ。 「『ペルソナ』がおもしろい」が広まったから『ペルソナ5』が売れたんです。 ジュブナイルな設定が~などは、みんなは知らないんです。 本作はそれと同じで「『サクラ大戦』がおもしろい」という、短い動機付けがたくさんの人に伝播していくことが、今の一番の願いです。 (以下、龍が如く6)』では「桐生一馬のドラマが終わりますよ」と宣言して、実際に終わりました。 そこから『極』シリーズで昔のIPを掘り起こすなどしましたが、私は「次どうするの?」と、頭のなかでは次の主人公は誰で、どんな物語で……とばかり考えていました。 でも、それだと何も変わらないし、そこに留まってしまうとまだ誰だかわからないけれども、次の主人公は桐生一馬と比べられ、桐生一馬のほうがよかったと言われ、最後はつぶれていくだけだと。 とはいえ、新しい主人公はその宿命を背負って生まれてくるものではあるので、そこは止められないと。 だとしたら、桐生と比較にならない軸を持った主人公にしないといけない。 とにかく新たな主人公に桐生との勝負をさせたくなかったんですよ。 名越:それはあまり考えてはいなかったですね。 あとは『龍が如く』自体が発売当初、ゲームやゲームマーケットに対する挑戦でもありました。 その姿勢はシリーズ化してファンに応えることで薄れていったわけではありませんが、挑戦というよりは期待に応えるという部分に徹していたのは否めません。 シリーズが発売から15年経過しようとしているなか、いつかは原点に立ち返る必要があったわけですね。 それで『龍が如く6』で桐生の物語を終わらせると決めたときに、次の作品でそれをやらなくてはと考えました。 ただ、そのときは私もゲームジャンルまで変えるとは思っていなくて、当然「どんなアクションにするの?」と、アクションの変化形をみんな考えていました。 名越:その変化案からマルチバトルみたいなものを考えて、AIの精度を上げることをずっと追求していました。 それもいい方向にはいったのですが、「やっていることは十全かつ磨かれたAIだけだよね」という話になりまして(笑)。 それでも十分に違うアクションシーンになったか、と言われたら、プライド的には違うと言い切れますが、大きく違うとは言い切れないよな……と。 一方ではを発売して、あちらはむしろ強くアクションシーンを更新したというわけではなく、今まで試してきたなかで、一番手触りが優しくて爽快なものの集合体でした。 さらに木村拓哉さんという素材もあり、ゲームが得意ではない方もプレイしてくれるのではないかと想定して、いわゆるガチャプレイでもクリアできるようにしないとダメという課題があったんです。 成長要素についても、たくさんあるというよりは、あるにはあるけどもそんなにそこに重きは置いていない作りにしています。 それで「じゃあアクションはこちらにまかせて、違うことをやろうよ」となったんですね(笑)。 そして「それは何だ?」となったときに、RPGというアイデアが出てきたわけです。 AIがどう働くかということも含めて、ようはチームプレイをやりたかったんです。 一緒に戦って、それを2人、3人、4人と一緒に戦わせたかった。 それを考えると「RPGっていいよね」と。 それで実際にゲームを作り始めるわけですが、まずは一度雰囲気を作ってみるんです。 エイプリルフールに公開した動画はまさにそれで、あのときはまだAIは完成していなくて、素材だけを適当につなげて作ったんですね。 公開してみたら「バカバカしいけどおもしろいよね」という話になりました。 ただ、あのときでまだ五分五分かな。 一応このときは5割やる気で、6割7割かと言われるとまだ半信半疑で、アクションのほうが安全だと考えていましたから。 ただ、安全なものを作るとなると「じゃあ桐生で行こうよ」と、話が戻っちゃいまして(笑)。 「このままだとこのスパイラルから抜けられないよ」となり、これはもう決める側の問題だと考え、次の社内のプレゼンでRPGに変えることに決めました。 ただ、会社としては『龍が如く』というIPが海外でも支持されるようになってきて、全体的にもよくなってきているわけです。 だからその流れのなかでジャンルを変えると「今までは何だったんだ」となる心配もあり、そこは私が経営者を説得しました。 まあ、私も経営陣の1人ではありますが(笑)。 「これ以上はアクションで作れる伸びしろを担保できない、限界だ」と、会社に正直に話したんですね。 精神的にそうなってしまったら、ゲームは絶対におもしろくはならないし、ハッキリ言うとそれに近いところまできてしまっていました。 別のIPなら話は別ですよ。 でも『龍が如く』が前提でかつ、定められた時間内で……となるとキツかった。 もちろんやる以上は成功させますが、失敗だとか海外でどうだとかは抜きにして、チャレンジをするというプロセスを1回通さないとダメですよ。 当然この次も問われるわけだから、どんな結果になろうとも、将来を考えたときに1回チャレンジを挟むことがとにかく大事であると伝えました。 まあ、ゲームジャンルからガラリと変えるのはチャレンジという面で見ればやりすぎかもしれませんが、やり過ぎかもしれないチャレンジを1回やらせてもらえませんかと。 それで作ったのがエイプリルフール動画で、実際バカバカしいけど、世界中どこを見てもあんなものを作るところはないと思います(笑)。 名越:それはそれで1つの強みではあるかなと。 「何なんだこれ?」となりつつも、冗談ながらもふざけきったことをちゃんとやり切るという姿勢は、『龍が如く』チームの強みですからね。 何か絶対に生まれますよと。 ただ、開発を始めたら始めたで、最初は本当にコマンドRPGにそれなりのAIがプラスされていただけで、乗り越えなくてはならないことが山ほどありました。 「あれ? これってアクションのほうがラクだったのでは?」と、最初の何カ月間はその状況がずっと続いていて、ぶち壊しては作り直しを繰り返して、それこそ「アクションに戻すならば今だぞ」みたいな(笑)。 今でこそ当たり前のように対応していますが、軸があって避けるという動作にしても、それがプレイヤーに対して有利に避けるのか、不利に避けるのか、そして避けた先にさらに別の要素があったときに、それを避けるためにその先の読み合いが必要になるんですよ。 これまではコリジョンが当たったか、当たらないかくらいを考えればよかったのにと(笑)。 アクションならばそれで済んでしまうことも、RPGにしたらそれだと済まなくなることがいっぱい起きてしまったんですね。 それで最初はそれがわかるように、恐ろしく丁寧に作っていたんです。 そうしたら1勝負に恐ろしく時間がかかりまして。 「なんてテンポの悪いゲームだ。 チンタラしていて遊んでられない」と(苦笑)。 プログラマーからも「これが完成したとしても絶対に遊びたくない」という話もあり、そこからは状況が的確に伝わって、かつテンポもよく感じるにはカメラをどんな風に動かすべきかを追求しました。 アクションシーンの羅列だけども、ちゃんと命令を与えながらかつ何が起きているか理解ができる。 状況を理解できて、次に何をしようと頭に浮かんで、それがスムーズに入力ができるようにですね。 バトル時間の理想は桐生一馬で敵が何人かいたときに一試合が終わる時間と、ほぼ同等まで持っていくことでした。 そこに持っていくまで、TGS前ギリギリまでかかっていましたね。 ただ、ショックだったことが1つありまして、TGSでは「やっぱりまだテンポが悪い」と言われたんですよ。 やはり印象なんでしょうね。 じつはアクションのほうが入力に没頭していることもあり、あっという間に時が過ぎていくんです。 人はシンキングタイムが挟まると、同じ時間でも少し間を取っていると勘違いをしてしまうのですが、実際はストップウォッチで測るとほぼ変わらないんです。 あとはこの形にしたことで、アクションではできなかったオートプレイもできるようになりました。 この『龍が如く7』ではRPGで育った世代たちが作るゲームエンジンで、ファンタジーという軸、SFという軸、そしてアニメという軸とはまったくどこにも当てはまらない体験をさせたかったんです。 そういう意味で私は成功していると思います。 ただ、それとこれとは関係ないよと言う方もいるかもしれません。 このチームでないと作れない体裁ではないでしょうか。 例えば桐生一馬という男になるロールプレイ要素や成長要素、街のなかで行きたい場所に行っていろいろな体験をするなどですね。 実際RPGしか遊んだことがない人が『龍が如く』を遊んでハマったというケースもすごく多いです。 そういう意味でも、スタッフとRPGとの相性がよかったのでしょうか? 名越:スタッフはほぼ全員『ドラゴンクエスト(DQ)』『ファイナルファンタジー(FF)』はプレイしていますからね(笑)。 結局は要素の置き直し作業から入るんです。 「これは『DQ』で言うところの何だ」「これは『FF』で言うところの何だ」と、チーム内でもするわけですよ。 それはある種のパクリではありますが、私は早々にスクウェア・エニックスの社長である松田(洋祐)さんと話していますし、堀井(雄二氏。 『DQ』シリーズの生みの親)さんとも話をしているのは、そこはリスペクトしているという前提からです。 なんとなくRPGという要素、呼び名もそうですし、ゲームジャンルを変えるためにこそこそと使うのではなく、堂々と付き合いたかったんですね。 だから、国内外でRPGの大先輩であるスタジオ(会社)や関係者に頭を下げるということは、私のなかでわりと重要な儀式だったんです。 実際、堀井さんに「おもしろそうじゃん」と言われたのはありがたかったし、そう言われた以上は頑張ろうと思ったきっかけではあるので、それはよかったですね。 個人的なものでしょうけど。 私はアクションを難しく育てていくことはできるけど、『龍が如く』チームが作るものではないなと。 だって、そこに興味のきっかけを作って提案するスタジオではありませんから。 作る実力があるにせよ、たぶん『SEKIRO』(フロム・ソフトウェア/Activision Publishing, Inc. )は作らないと思います(笑)。 もちろんゲーム内容はスゴイとおもいますし、見た瞬間からどうやって作ったのかなど、スタッフたちはAIの成り立ちをすぐに分解し始めるのですが、それは技術者ですからそうなんですよね。 「実際にやるか?」となったら「死にゲーはなぁ……」になると思います。 「ならばまったく興味はないの?」と聞かれたら「自分たちなりの解釈でああいったゲームを1回はやりたいよね」という気持ちもあります。 まさかの取り合わせですが、そのまさかにお金をかけてしっかり作ればちゃんと商品になるんですね。 まさかのおもしろさがあり、ゲームを遊んでおもしろかったという思い出になってくれれば、私たちはそれでいいと考えています。 さらにその先はユーザーが常に決めることですので。 『龍が如く』シリーズはアクションをずっと極めてきたと言われていますが、極めるということは僕らが「こんなことができる」という提案と、「これはやっぱりいやだった、辞めてくれ」というユーザーの声の積み上げの両方があるんです。 私たちもこちらが提案するものを一方的に押し売りする気はありません。 でも、常に今自分たちが精神的にもアイデア的にも、今一番おもしろいと言える提案をしたことに関してはウソがありません。 それについて「もう1杯おかわりをくれ」と言われるか、「もうお腹いっぱいだ、辞めてくれ」と言われるかは、ユーザーに言う権利がありますので、それを楽しみにまた次を待つというか、それしかもうないですね(笑)。 ただ、短期間で作品を作れるチームだから、それに対する答えが早めに出せます。 どんなアンサーゲームを作るのか、それはまた私たちの強みでもあります。 あとは主人公の春日一番という男についてお聞きします。 今回成り上がりをテーマにした物語が展開しますが、語れる範囲で物語の魅力をうかがえますか? 名越:成長ドラマなので、成長=RPGとかけている部分があります。 ゲームジャンルがまだ決まっていない段階で、まずはどんな主人公で、どんな事件が起きてどうなるのかという粗々のプロットを決めました。 ドラマの作り方はみんな長けてきているから、「大体こうしようよ」とか「色味をこう足したほうがいいよね」などの話が出るんですね。 それでRPGにすると決めてからは「もう少し何か欲しいよね」となりました。 じつは桐生一馬は生まれ育ちをキレイに明かしてはいないんですね。 それはそこを描く必要がなかったからで、いくつか理由があります。 桐生は最初から人望がある程度あり、精神的にも強くて割と弱くはない、けっこう最初から人間としてできているんです。 だからそこから過去を振り返るタイミングは意外と必要ないし、それにつなげていく理由もなかなかありませんでした。 あとになってそれはいいことか、悪いことかを振り返ったことはありますが、誰もそこは見たがっていないから関係ないよねと。 逆に今回は「春日はどんな人物だったの?」と、過去もしっかり描きたいという思いがありました。 今回はどうでもいいと思っていたシーンが、かなりラストにかかわってくるなど、相当深いところまで考えています。 じつは春日の祖父についても語られるんですよ。 彼がどんなDNAを持つ人物であるのかなどね。 結局、人は血なのか骨なのか育ちなのか、もしくは環境なのかそれともDNAなのか……という。 善と悪があるなかで、自分が何を選ぶのか。 そして自分以外の仲間という要素があるなかで、どのような道のりを辿るべきなのかを問われるんです。 これが桐生だと彼は自分を持っているから、ふらつかないんですよね(笑)。 でも、春日は基本的には興味がある話にすぐ飛びついちゃうし、だまされてしまう。 だまされながらもひっくり返そうと頑張るんだけども、わりと泳ぐタイプの人間なので、それはそれで周りも彼の純真な純の部分に対して、心がだんだん動いていく。 そんなドラマは桐生では書けないですよね。 桐生では作れないドラマを、という意味では、新しい主人公の春日は見事に応えてくれているなと私は思っています。 また、成り上がるという意味で言えば、彼は偉くはなりたいというよりは、なれるはずがないという、割と諦めているところがあって、何者でもない自分にストレスを持たない、ある意味現代的な感情を持っています。 成り上がりを目指していくと「人生って楽しいな」「目指すものがあるのは素敵だな」とか、それがもし道徳的にけしからん方向に行くと「腹が立つものだよね」と、わりと当たり前のことを考えられるような主人公なので、私はかなり好きですね。 彼が困っているときはプレイヤーも困ると思いますし、普通に同じ温度感でドラマを見られるんじゃないですかね。 名越:強くなると思います。 仲間になる理由もそうだし、当然裏切りなどもあったりしますが、なぜ近寄って来たのかもわからないままの関係だったり。 1つ1つ適宜パズルのピースを埋めていかない感じが、少しじれったくもあり、おもしろくもあります。 「彼はなんでこういうことをするんだ?」「彼はそう言っているけど明らかにウソだよね」とかね。 ただ、「そう言っている以上はほかに言いようがないし放っておくか……」みたいな(笑)。 操作しながら心の中で「ウソつけ」と思いながらプレイしていると、それはそれで楽しかったりします。 あとは仲間同士の相性が今回はすごく大事です。 名越:そうですね。 一対一だけではおもしろくないし、やはり多対多であるべきだと考えています。 TGSで公開したストーリートレーラーではハン・ジュンギが出てきましたけども、彼は一緒に出てきたあの女性キャラクターとものすごく仲が悪かったり、韓国組織コミジュルの総帥、ソンヒもやっぱりあのキャラクターとはすごく仲が悪かったりします。 そこにはキャラクターごとに、生い立ちやポリシーや生き様があり、好き嫌いの理由にも筋が通ったものを持っているんです。 それがドラマを進めるにあたり、有利になったり邪魔になったりします。 団体行動はそういうことがあるあるじゃないですか(笑)。 今お前が前に進まないと俺も行けないんだけど……というときに「私絶対に行かない」とかね。 普通はパーティゲームだと仲間は一緒に進んでくれるのに、そう簡単にはいかないということを、現代劇だからこそおもしろく描けています。 現時点での手応えはいかがですか? 名越:それは大きく変わりました。 今から急いでやらなければいけないのですが、拡散性の強い、これはユーチューバーさんに頼ることもあるかもしれませんが、遊んでみたところの拡散をしっかりする必要があります。 ドラマ押しもまた改めて完成披露で押していきますが、遊んでいるときのおもしろさを、もう一回しっかりやっていきたいですね。 じつはTGSのときは10時に開場してから5分しか経っていないのに、試遊がすでに1時間半待ちだったんですよ。 メディア日なのにみなさん触りたいんですね。 「なるほど、どんなものなんだ」とひと言いいたいんだなと。 ですが、一般日ではまずブースに来て「アクションのほうがよかった」と言われるんですよ。 それで「プレイされました?」とお聞きしたら「いや、やっていない」と。 そこはやりましょうよと(笑)。 それで実際に遊んでいただいたら、「あれはあれでありでしょう」と言ってくれる方がけっこう多かったんです。 「あれはありえない」「アクションでなければ絶対にありえない」ではなかったので、突破口はまだあるなと私は考えています。 ただ「アクションもよかった」と、結局みなさんはそう言うんですけね(笑)。 桐生しかり、ゲームシステムしかり、これまでのシリーズと比較されることはわかって生まれてきたコンテンツだから、この生まれてきた宿命をどう理解してもらえるか、私たちのプロモーション上の1つの課題なので、これを一生懸命伝えていくしかないなという想いです。 TGSの体験版ではありませんが、体験版の配信は考えています。 TGSの体験版も時間内にとても遊び尽くせるボリュームではなかったので(笑)。 あとはシリーズのファン目線で言えば、ナンバリングである以上は過去作とのつながりを感じさせる、例えば東城会の歴史のようなものは、ゲームを進めていくうえで見えてくるのでしょうか? 名越:見えてきますね。 春日自身も東城会のメンバーだった人だから、このバックボーンや舞台や人を語るには、触れないで進みようがありませんので。 ただ、そこが難しいのが、色濃く出してしまうとそこに足を引っ張られてしまうんですね。 「なぜ彼らは彼らなりに何かできる力を持っているのに何もしないんだ」とか。 だから、そこはいい感じにどこまで疎遠にするかは、ドラマを作るうえでけっこう悩むところです。 名越:ダメですね。 名越:そうなると「ええ、どういうこと?」となり、物語がよくわからなくなってしまいます。 過去に触れないことはできないし、触れすぎるとドラマのパワーバランスが崩れてしまうので、そこがいつも物語を作るときの課題ですね。 でも今回は初代『龍が如く』のときに桐生に対して錦山という存在がいるように、春日にはもう1人の存在がいます。 そのときの関係性と振りとオチの熱さが初代と同じ、いえそれを超えるくらいのドラマが展開されると思うので、そこは注目してほしいですね。 わりといろいろなことが起きるのですが、骨子になる話はけっこうシンプルなものになります。 そこはすごくいいかなと感じています。 でも、仕掛けはさすがにいろいろと作品を作ってきて、昔よりスキルが磨かれてきましたので、けっこうよくできていますよ。 ただ「タイトルを『7』にしないでほしかった」という方もいたんですね。 「このシステムは認めます。 おもしろいです、買います。 予約もしました。 でも、これはRPGとしての別シリーズにしてほしかった」という声も多かったです。 名越:かもしれませんね。 でもなんて言えばいいんだよ、となるじゃないですか(笑)。 言葉って非常に難しい。 名越:たとえば制作体制とか、制作コストとか、コストから作品を語るのは変ですが、あえて組織やお金の面を含めてしっかりとした大作としての構えとか、それを含めてナンバリングを付けてなんら問題ないというか、それを含めて大丈夫でしょう。 そう思って買っていただいて問題がない、覚悟を持ってクレームがこないものを作っていますし。 でも、難しいですよね(苦笑)。 TGSでも言ったのですが、それこそタイトルを戻そうかという話もあったんですね。 私たちは買ってくださることに意義があるので。 そこにケチが付かないで買ってくださる方が増えるならばと。 そうしたら「いや、もう(配布物を)刷っちゃっていますよ」と言われて、じゃあダメだと(笑)。 名越:これは私から作ろうと言ったのではなく、城﨑(『たべごろ!スーパーモンキーボール』プロデューサー/ディレクター:城﨑雅夫氏)という、『クロヒョウ 龍が如く新章』のときから一緒にやっている若いスタッフからの提案なんです。 彼は『JUDGE EYES』も手掛けていて、制作が終わってから、彼も昔のゲームのリバイバルを何か1本手掛けてみたいと話していたんですね。 ちょうどいいコンテンツがないなと思っていたら、彼のほうから『モンキーボール』をやりたいですという提案がありまして。 Nintendo Switchという新しいハードが出て、プレイステーションも新しいハードが期待されるなかで、エアポケットのようなタイミングで出すのは逆に言えばいいタイミングだと考えました。 私自身はきちんとした形できちんとした時期に出せば、『モンキーボール』は長く売れるタイトルだと思っていますし。 名越:あれはなかなか思い切ったタイトルですよね(笑)。 でも、それが許されるタイトルではあると思います。 私はその時代に応じて、価格も含めてリファインして存在し続けることができれば、いいIPかなと考えています。 ただ、ゲームは当然性能がよくなって、やれることが広がってやりたいことの欲求が深まっていき、それはそれで多種多様なものが世に出ていくのですが、ゲームである以上は性能による深掘りと、ゲーム性というのが必ずしも一致するとは限らないんですね。 本来で言うと、なかなかできないけれども『テトリス』的なゲームが何年か1回にポンと生まれて、アイデア1つでブームが起きちゃうんだ、ということが常に起きてほしいと願っている人の1人なんです。 それがゲームの正体だと思っていますし。 美しいムービーが用意されて、たくさんのアイテムや成長要素が用意されているのもゲームですが、それはそれで別なのかなと。 『モンキーボール』もそうですが、やはりジャストアイデアで、国を問わず、そして世代を問わずにヒットするゲームを生み出せるはずで、そういった一獲千金な意味合いも含めて、ゲームクリエイターは常にそういう野心を持っていてほしいと考えています。 そういう人がまた新しいものを思いついて、第二、第三の『テトリス』みたいなものを作っていくのではないでしょうか。 だからパズル、アクションだけじゃないですが、ワンボタン、もしくはワンレバーで暇さえあれば触ってしまうようなゲームが作れるのでは、そして作りたいと常にそう思っています。 名越:ないんじゃないですかね。 正直に言うと任天堂さん、SIEさんがこういったハードを出す波に乗っかったんですよ(笑)。 ただ、乗っかった以上は後発であるが故のこだわりですね。 あとはセガらしさというか、タイトルの選定ではやたら必死になって詰め込んだ感とか。 その必死さがなんかいいかなと。 ただ、私は1回だけのお祭りだから必死になったんじゃないかなと思っているところがあります。 儲けだけでやっていないところがあるので。 もちろん、儲かるのは担当からしたらうれしいとは思うんですよ。 ただ、評価をしていただきましたが、トータルで見ると……かなと。 ここは私からは即答はできませんが(笑)。 みなさんがもし発売を願うならば、そう伝えた方がいいかもしれません。 ただ、あの頃のほうがゲームらしい熱さはあったかもしれませんね。 私はセガサターンのような3Dの演算ができるようになってからのハード以降は、近代ゲームの枠に入ってしまうのかなと思っているので。 だからメガドライブの16BITハードまでが1つの区切りなのかなと。 それらの展望などをお聞かせください。 名越:正直に言うと、今年に合わせてたくさんタイトルを用意したわけではなくて、たまたま多くなったというのが現実にはあります。 セガゲームスも『龍が如く』シリーズや『ソニック』シリーズのような、同じスケールになりうる新しい大きな柱を作るという課題を持ってはいます。 それも本気でね。 自分が取締役であるので言いますが、アトラスもヴァニラウェアのタイトルも『真・女神転生』シリーズも、安定した高い評価を得られたここ数年は素晴らしい方向に行っているとは思います。 でも、彼らも『ペルソナ』『真・女神転生』以外の方向を作らなければいけないフェーズに来ているんですよ。 お互い、セガゲームスにせよアトラスにせよ「新しい世代を見越した新規 IPとは何だ」と、今は真剣に取り組んでいます。 世の中ではやはり1つの会社のなかでの、端的に言えばバンダイナムコエンターテインメントさんならば、集英社さんの人気アニメを題材にしたゲーム。 カプコンさんならば『モンスターハンター』があります。 それらをマルチユースにやるという、それはそれでフォーカスする強みはありますが、我々はバラエティに富んだ選択をする会社でありたいと考えています。 「どうせあの会社はこれだよね」と言われない、「セガってどんな球を投げてくるのかな」と言われるカラフルなおもしろさが常に秘められていることが、セガゲームスのウリだと思うんですね。 「あ、そんなところに投げてきたんだ」と言われたいんです。 まあ、ときにはそれが暴投になることもありますが(笑)。 でも、ハマればすごくいいコースに投げられるし、バシッとハマると思います。 そうなるように新しいものに注力している真っ最中なので、それが早くお披露目できるようになりたいですね。 60周年といっても周年は勝手に来ますからね。 私からすると続けていくことと止めることが大事で、止めなければ新しいことはできないですよね。 誰もが知っていることですが、スクラップ&ビルドとはよく言ったもので、捨てる勇気、そして作る勇気を持ち、限られた資源・時間のなかで何をしていくのかが問われます。 一方で我々は新しいゲームハード、5Gへの時代という展望を持っています。 もちろん、会社が違えば展望は違うでしょうが、セガゲームスとしてのビジョンは持っていて、それをどう体現化するのかというところですね。 1つのヒントを言えば、もうハードはどうでもいい時代にやっとなってきている、そういう時代が来るんですよ。 これまでプラットフォームホルダーは、ハードウェアの事業をやっている会社を指していました。 でも、これから先の究極のプラットフォームはIPになると考えています。 そういう意味で言えば、アトラスはとてつもないプラットフォームホルダーになれるポテンシャルをすでに持っています。 セガゲームスもあやかりたいというか、そうなっていきたいんです。 それを早めて、そしてロイヤルティを高めていくために、5Gのような速いインフラがあったうえで、どういう運営をしていくのかが求められます。 正確で即時性の高い運営とは何なのか、というところで勝負をしていく時代にたぶんなっていくので、来るべき時代の準備を始めなくてはいけません。 だからよりIPが大事で、IPを大事にする精神が、より問われていくのかなと。 IPを単なる売り上げを出す道具のように思っているだけだと、すり減らして終わりになるじゃないですか。 今までハードが中心の時代は、わりとソフトはそういう運命にあっていたのですが、逆に今からはそうではありません。 ソフトを作る会社が、自分たちでIPの磨き方、磨くペースを決められる、優先権を持つ時代になっていくので、話はだいぶ変わってきますよね。 名越:そうしていきたいですね。 今回が受け入れられたら、いいペースで新作を投入するべきだと思います。 ペルソナ5 ザ・ロイヤル• メーカー: アトラス• 対応機種: PS4• ジャンル: RPG• 発売日: 2019年10月31日• メーカー: アトラス• 対応機種: PS4• ジャンル: RPG• 発売日: 2019年10月31日• メーカー: セガ• 対応機種: PS4• ジャンル: アクションADV• 発売日: 2019年12月12日• メーカー: セガ• 対応機種: PS4• ジャンル: アクションADV• 発売日: 2019年12月12日• メーカー: セガ• 対応機種: PS4• ジャンル: アクションADV• 配信日: 2019年12月12日• メーカー: セガゲームス• 対応機種: PS4• ジャンル: RPG• 発売日: 2020年1月16日• メーカー: セガゲームス• 対応機種: PS4• ジャンル: RPG• 配信日: 2020年1月16日•

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