作品紹介・あらすじ 敗戦後日本の経済復興を支えたアパレル産業は、百貨店とともに輝きを放ち、誰もがあこがれる世界であった。 そんな華やかなアパレルはなぜ、衰退していったのか。 本作の舞台は、某大手婦人服メーカー。 会社とは何かを世に問うた村上ファンドとの攻防、社長の死と後継指名、競合他社との経営統合……戦後のサクセス・ストーリーとバブル後の衰退を、虚実織り交ぜてダイナミックに描く。 ドラマティックなフィクションでありながら、日本経済の今を、そして未来を考える際の必読書となることでしょう。 東京スタイルをモデルにした経済小説で、戦後から現在までのアパレル産業の遷移がよく分かる。 東京スタイルは戦後に設立された会社で、設立当初は、余り布から既製品を作る事業をしていた。 それが、高度経済成長の波に乗ることで、海外ブランドとの提携、高級感溢れるブランドを生み出し売上を拡大していった。 そんな折、村上ファンドが物言う株主として登場しプロキシーファイトをする展開になる。 なんとか村上ファンドとの戦いを乗り切ったが、バブル崩壊による景気停滞によりアパレル産業は衰退していく。 この時流を上手くとらえたのが、ユニクロやしまむらだ。 従来の百貨店販売がメインではなく、生産から販売までを一貫して管理するSPAという事業モデルを打ち出した。 ユニクロは今や売上高一兆円超えで、2位のしまむらは5千億円、3位のワールド3千億円と大きく水を開けている。 そして、今やアパレル産業の主戦場はネット販売とSNSへ移行し、アパレルメーカーは百貨店販売を主軸に展開してない。 著書は上記のような激しい産業の変遷を緻密な取材で調べており、読んでいてどんどん惹き込まれた 洋服やアパレル業界が大好きという個人的な思い入れがありたいへん熱中して夜更かしの上一気読みで読了。 著者な淡々とした筆致は相変わらずで、企業小説としてあまり子ども向けではない。 重みのあるエピソードがこれでもかとばかりに詰め込まれていることもあり、それなりに本が好きな人でないと読み切れないのではないか。 デザイン的にはパッとしないけど一流のものづくり、という古き良き時代の東京スタイル的価値観が破れ去っていく過程を通じてアパレル業界の戦後史を辿れる。 群像劇に近いと個人的には思っている。 アパレル業界は世界的には廉価ブランドとモエヘネシールイヴィトンの一教、国内はユニクロしまむらオンワードワールドと少数の勝ち組が最終決戦を繰り広げているように見える。 今後の業界の行く末が気になる。
次の東京スタイル本社=2003年5月22日、東京・千代田区 「会社は誰のものか」を問いかけた大騒動 かつて東京スタイルという名門婦人服メーカーがあった。 デザインの華やかさは今一つだったが、しっかりした縫製など、ものづくりの技術に定評があった。 東証1部上場で、約9割という驚異的な自己資本比率を誇っていたが、あまり目立たず、業界上位のオンワード樫山に追いつくことを目標にしていた。 そんな同社が、2002年、突如世間の注目を集めた。 村上ファンドが株を買い占め、高配当や役員の派遣を求めからだ。 22年間にわたって社長として君臨していた高野義雄氏は村上ファンドの要求を全面拒否。 日本では珍しいプロキシー・ファイト(委任状争奪戦)に突入し、「会社は誰のものか」という根本的な問いかけとともに、日本中を巻き込む大騒動に発展した。 当時、筆者は同社の株主総会に出席したり、村上氏に会ったりして取材をした。 株主総会はガチンコ対決で、結果としては、東京スタイルが村上ファンドの要求を退けた。 村上ファンドを支持していた外国人投資家が、総会前に高値で売り抜けたことが要因だった。 高野社長は勝つには勝ったが、この騒動で寿命を10年縮めたと言われた。 その後、2006年に村上氏が証券取引法違反で逮捕されると、大いに留飲を下げたが、3年後に食道がんで急死。 後任の社長の下で、2011年に同業のサンエー・インターナショナル(東証1部上場)と経営統合をして、TSIホールディングスが発足したが、翌年、東京スタイル出身の社長が突如解任され、経営権は完全にサンエー側に移った。 あまりの激動のドラマに筆者は唖然とし、今般上梓した『』(岩波書店)の執筆を思い立った。
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